ペルソナ3
1899話
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出る可能性は否定出来ないのだ。
「やれ、カストール!」
荒垣の叫びと同時に、カストールの乗っている馬から生えている長くて鋭利な角がブラックレイヴンの身体をあっさりと貫く。
そしてシャドウを倒したのに満足したのか、やがてカストールの姿は消えていった。
暴走はしなかった、か。
後は俺の予想が正しければ、カストールのレベルを上げて、荒垣もそのカストールのコントロールに慣れるようにしていけば……恐らく暴走する危険性は減っていく筈だ。
そういう意味だと、今の状況が一番暴走しやすいって事になるんだが……こうして見る限り、何とかカストールという荒馬を乗りこなしているようで何よりだ。
「よし、全員無事に戦闘が終わったな。まずは何よりだ」
「待てよ、アクセル! 何で俺にだけ手助けしたんだよ!」
不満そうな様子で俺に迫ってくる順平。
その気持ちは分からないでもないが……
「何でだって? それは俺が言わなくても、お前が一番分かってるんじゃないか?」
「ぐっ!」
俺の言葉に、順平は言葉に詰まる。
実際、順平とヘルメスはそこまで強い訳ではない。
それこそ、この17階ではシャドウの方がまだ強いと言えるだろう。
桐条も、それを承知の上で俺に順平を預けたんだから、俺からそれを否定出来る筈もないんだが。
ともあれ、俺の一言で黙り込んだ順平だったが……何故かその視線は、俺ではなくゆかりに向けられていた。
「ゆかりッチは、いつもこんな戦いをしてるのか?」
「こんな戦いってのがどういう戦いなのかは分からないけど、今日はアクセルが戦ってくれてるんだから、楽な方よ」
「これで楽なのかよ」
ゆかりの言葉に溜息を吐く順平。
実際、俺がこうして手を出すのは結構珍しいので、そういう意味ではゆかりの言ってることは決して間違っている訳ではないのだが。
「そうよ。15階までは、よっぽどの事がない限り、私1人で戦ってたもの」
「何だよそれ、それって、ゆかりッチに戦闘を完全に任せてるって事か? それで、何でゆかりッチはそんなに平然としてられるんだ? 戦闘だぞ? 命を懸けた戦いなんだぞ?」
「……それを順平が言うの?」
冷たい視線を向けられた順平は、何かを言おうとするも……結局それが何の意味もないのだと理解すると、黙り込む。
実際、俺達のパーティは元々ゆかりを鍛えるというのが主目的だったのだから、ゆかりが戦うのは当然なんだよな。
実際、そのおかげでゆかりは現在最強のペルソナ使いとして君臨してるんだし。
まぁ、荒垣もペルソナを使うようになった以上、最強のペルソナ使いの座は危ないかもしれないが。
「で、どうだった?」
ゆかりと順平が話しているのをそのままに、俺は荒垣に尋ねる。
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