覚醒
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得しきれていないように見えた。
「最後の何?」
「わからない。ただ、これまでのスプリットとは確実に違うな」
2番の越智からの問いに目を伏せながら答える。彼女はそれを聞いて釈然としないような表情を浮かべつつ打席へと向かった。
「今のはダブルスプリットよ、英玲奈」
「ダブルスプリット?」
「何?知らないの?」
聞いたことがあるようなないような名前に思わず立ち止まる。ネクストバッターズサークルのツバサは彼女と次打者のあんじゅに先程の球の正体を伝える。
「あれは東日本学園のレジェンド、佐藤孔明さんが投じていた魔球。ほら、観客たちもかなりざわついてるでしょ?」
東日本学園の伝説の世代は皆知っている。その中でも特に野球マニアの中では彼の落差の大きいスプリットをダブルスプリットと称していた。そのため今花陽が投じたボールがそれに似ていたため知っている野球マニアがざわめいていたのだ。
「あのボールはフォークの握りで人差し指と中指だけでボールを放つことで急激な落差を生み出すことができる」
「それだとあのスピードは出ないんじゃない?」
人差し指と中指だけでフォークを投げる投手はいるが、それだと速度は決して出ない。だが先程のダブルスプリットは誰がどう見てもこれまで使ってきたスプリットと大差のない速度だった。
「そこで小指の出番よ。小指を強く握り込むことで腕を加速させ球速を上げる。それによりこれまでのスプリットと同じ速度を維持できるのよ」
理論的な説明に感嘆の声を上げる2人。ツバサが説明している間に越智が三振すると、彼女はバットを持って打席に向かう。
「ま、その分肘への負担はフォークの比ではないけどね」
「「え?」」
そう言い残し打席へと向かったツバサ。彼女は球審に一礼するとキャッチャーの穂乃果に話しかける。
「いきなり使ってくるとは驚いたわ。たった2日で習得できるなんて」
「花陽ちゃんに向いてる球らしいですからね」
わずかな言葉を交わしサインを送る。初球は外角から入ってくるスライダー。ツバサはこれを見送り1ストライク。
(これで外への目付けができた。次は内角に速い球が来るはず)
その読み通り内角へのストレート。これを打ちに行くが空振りになる。
((ん?なんだ?今のスイング))
ツバサの空振り方に違和感を覚えた西村と剛。先程のスイングでヘルメットがずれた彼女はそれを直して構える。
(すごいスイング。でもツバサさんってこんなにフルスイングする人だっけ?)
わざとらしいとは思いつつもここでセーフティを仕掛けてくるとは思えない。次なるサインを出して勝負に出る。
(真ん中!!ここから落ちる!!)
放たれたのはど真ん中。コントロールのいい花陽がそんな甘
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