第四百九十一話
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第四百九十一話 先生達の宿敵
今田先生と今日子先生はいつも平和である、しかしそんな先生達がこの日は三時のティータイムにこんな話をしていた。
まず今日子先生がだ、今田先生に言った。
「ねえ香織ちゃん、あの人がね」
「あの人が?」
今田先生は紅茶を飲む手を止めて今日子先生に問い返した。
「またなの?」
「そうなの、出て来てね」
そうしてというのだ。
「何かしようとしているみたい」
「オーストリアに帰ったんじゃ」
「それがまたね」
「日本になのね」
「来るそうなの」
「ううん、そうなの」
「若し日本に来たら」
そうなったらとだ、今田先生は今日子先生に困った顔で話した。
「大変ね」
「ええ、それで教授さんはね」
「ヘルシングさんは」
「今はあちらが忙しいらしくて」
「ルーマニアで」
「そうらしくてあの人を止められなくてね」
そのせいでというのだ。
「あの人が日本に来たらしいわ」
「そうなの」
「だからね」
今日子先生は今田先生にあらためて話した。
「私達でね」
「何とかしないといけないのね」
「そうなるけれど」
「わかったわ」
今田先生は穏やかだが確かな声で答えた。
「その時はね」
「私達二人でね」
「向かいましょう」
「あの人に」
二人でというのだ。
「そうしましょう」
「そうね、あの人が何処に来るかだけれど」
「東京や関東ならね」
そこならだった。
「沙耶香さんや速水さんがおられるけれど」
「若し神戸に来たら」
「私達でね」
「ええ、何とかしましょう」
「さもないと大変なことになるから」
「本当にね」
二人でこう話していた、この話は今田先生と今日子先生だけのことだった。しかし何かが確実に動きだしていた。
第四百九十一話 完
2017・10・22
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