お姫様はどんな気持ちだったのだろうね
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のかしら?
「強かったら嫁ぎに来た婿をぶっ飛ばしてもいいのかしら?」
「…………」
大きなお口がやっと閉じてくれたわ。ああ、うるさかった。
「お姫様は生涯独身で性を全うするとこなんかは君好みだと思ったんだけどなあ……」
髭をさすりながら独り言のように呟くお爺さん。
ウケを狙いにいった時点でその話はもう終わりだわ。確かに私は笑って泣ける喜劇より、誰も救われない後味の悪い悲劇の方が好きよ?
でもだからと言って、それを狙った話の何が面白いと言うのかしら。物語と言うのは自分が書きたいもの話として紡ぎ書いていけばいいのよ。読者なんて後からついてくるものなんだから。好みなんて人それぞれ。それに合わせ作られたお話なんて糞喰らえって奴よ。
「そうね……」
「んや? どうしたんだい? 急に黙り込んだりして、お腹でも痛いのかい?」
「貴方の顔を見ていたら頭痛や腹痛に一つや二つ起こりそうだけど今のところは大丈夫よ」
それは良かった、と笑うお爺さん。今のところはって言っているじゃない。これから起きないとは言っていないわ。
「じゃあどうして難しい顔して黙り込んだりしていたんだい?」
ああ……なんだ、そのことね。と、呟き大きく深呼吸をした後
「貴方のつまらない話にはもう飽きたわ。
……しょうがないから、お手本に一つ私が考えた御伽噺をしてあげる」
「本当かいっ!? いやあ。まさか君からそんな話を持ち掛けられるなんて思ってもみなかった。嬉しいなあ」
とろんと、頬っぺたを落っことしたお爺さん。……実際にはまだ落としていないけど、これから聞かせてあげる私の話でその頬っぺ落っことしてあげる。
「それで? 君の考えた話とはどんな話なんだい?」
「さっきの話よ」
「ん、さっきの話? お姫様の話かい?」
「ええ、そうよ。貴方達親子二代に渡って駄作としてしまったお姫様が可哀想だから、私が最高の話に生まれ変わらせてあげるのよ」
容姿の特徴が私と似ている部分も何だか他人事のように思えないもの。
「……あの子もきっと喜ぶよ」
「ハイ?」
急にお爺さんの声のトーンが可笑しかった。あんなに馬鹿みたいに笑っていたのに、急に物静かなまるで幽霊みたいな声なんて出すから素っ頓狂な声が出てしまったじゃない。
と、睨み付けたらいつもの満開の花が咲いた笑顔のつまらないお爺さんが目の前に居たわ。……なんだったのかしら、あれは。
語ってあげる。私の物語――鳥籠のお姫様のお話をね。
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