EX回:第37話(改2)<孤独な戦士>
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れるだろう。あの提督は事情さえ話せば分かる男だ』
それは分かる気がした。
『艦娘とは、繊細な者たちなのだ』
窓の外を見ると島風がVサインをしていた。そうか、艦娘は闘いながら皆、心細かったか。
ふっと舞鶴での戦いを思い出した。彼女も新人を従えていたが、心の中は不安で一杯だったに違いない。
私は応えた。
「そうだな、私は馬鹿だろう」
ちょっと気まずい雰囲気になってきたので私は言い訳のように付け加えた。
「だが私は広瀬中佐を尊敬しているんだ。部下のため最善を尽くす。それが私の理想像だ」
その言葉に機内の艦娘たちも泣き出した。
私は続けた。
「まだ新人提督だ。あまり君たちの心情を汲み取ることが出来ない。まだまだ指揮官としては足りない」
「司令……」
そう言いつつ日向が私の手を握った。
一瞬、焦った私。
(ヤバイ?)
でも彼女は言った。
「司令……私も、広瀬中佐、勉強します」
(ああ、そっちか?)
「ひゅー」
誰かが口笛を吹く。見えると青葉さんだった。
「茶化すなよ」
私は照れ隠しのように言った。
他の艦娘たちも機内でそれぞれ抱き合っている。
「司令……」
私のところには赤城さんまで来て私と日向の手の上に彼女の手を添えた。
私は、彼女たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「提督!」
機長が叫んだ。
「急激に気圧が下がっています」
「なに?」
すると縛られている作戦参謀も呟いた。
「また……来るぞ」
「そうか、嵐がくるか」
機体も再び揺れ始めた。波が高くなってきたようだ。
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