414
[8]前話 [2]次話
虚しきや
時雨し野辺の
枯れ尾花
夢も果てなむ
人ぞ儚き
なんと虚しいことだろう…野原を見渡せば枯れた芒が雨に濡れ、薄明かりの下で朽ちている…。
私も変わらず…然して時を経ずしてああなるのだ…。
この世から去る時…私はやはり、彼を想うのだろう…。
愛されたかったと…この身ゆえに叶わぬ恋を、不相応にも未練として残すだろう…。
夢も果ててしまえば…人のなんと儚いものかを知るのだな…。
うまれきて
逢ふと知りなば
去りゆくを
冬の雪とて
春には消ゆるも
今日は…彼の誕生日だ…。
もし…彼と会って恋すると分かっていたら、私はきっと会わないようにしたに違いない…。
こんな寂しい思いをし…見知らぬ誰かに嫉妬し…こんな惨めな自分を見つめるしか出来ぬのだから…。
冬の雪は降り積もるが、春には溶けて消えてゆく…。
だが…彼への想いは全く消える気配はない…。
彼に告げることも出来ず…諦めることも出来ず…。
私が雪のように…溶けて消え去れたら良いものを…。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ