2時間目
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引き返した。
「危ない危ない」
そう言って彼女は机の上に置いてある眼鏡をかける。
「これがないと、こっちにいるって自覚がわからねえからな」
彼女にとって眼鏡とは世界を見るための窓そのものだった。
ガラス越しに広がる世界は自身が経験した非常識がはびこる世界。
フレームで囲まれた狭い視界こそ、彼女が今見ている世界。
彼女を拒絶した、歪な世界。
だから彼女は眼鏡をかける。暗示をかける。
今の私は偽物だと。歪な世界に合わせた歪な仮面をかぶる。
そうやって彼女は小さいころから生きてきた。
そしてこれからもそうやっていくものだと、信じて疑わなかった。
―――――――――――――――――――――
「なんですって!? 2−Aが最下位脱出しないとネギ先生がクビ!?」
物思いにふけっていた千雨は急に聞こえたその叫び声の主へと視線をむける。
そこではクラスの委員長である雪広あやかがクラスメイトである椎名桜子へつかみかかっているのが見えた。
「とにかく、なんとか最下位を脱出ですわよ!とくにそこの普段マジメにやっていない方々も!」
と言って数人のクラスメイトを指すあやか。もちろんその中には千雨も含まれていた。
「あーはいはい……」
と適当に返事をするも、テスト返しの時にどうせばれてしまうので結局は本気で取り組まざるおえないのだから仕方がない。
それに千雨自身も、あの少年のことは好きではないが嫌いでもなかった。
(まあ十歳児にしては一応マジメに授業をやってるし、これくらいなら生徒として協力しとくか)
と千雨が思い始めたころに思わぬ一報が入った。
「大変!ネギ先生とバカレンジャーが行方不明になった!!」
その時、珍しく千雨とその場にいたクラスメイト達の心は一つになった。
(((ああ、これはダメかもしれない)))
その後、テストに遅刻したバカレンジャーたちは別室でテストを受けることとなる。
そしてその採点結果から0,5点差で2−Aがクラス別平均にてトップに躍り出ることになるのだけれど、それはまた別の話。
一つ言及するとするなら、慣れない徹夜勉強をして千雨はとても眠そうだったという。
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