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東方
大祖国戦争と人民の財宝
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い。


 とにかく、概ね歴史通りに進んだ。大航海時代は起こったし、植民地戦争も起こったし、アメリカ合衆国も建国された。
 レミリアは内に引きこもってひたすら内政をしていた。シムシティとか好きだったんだよね。


(外の世界? 知るか! それより内政だ)


 しかし、決定的なのは第一次世界大戦だった。二正面作戦を避けられたドイツ帝国はシュリーフェンプラン通りにフランス共和国を粉砕してしまったのである。
 高みの見物を決めていた大英帝国とアメリカは慌てて救援に駆け付けたが、泥沼の試合の末、ドイツの勝利で終わった。


 ドイツ主導のもと国際連盟が結成され、初めて世界的な対ソ包囲網が作られた。ソ連側の妨害工作が失敗したのである。


 不気味な沈黙を続けるソ連に対して、18世紀までは人類世界は警戒していたが、人は忘れる生き物である。ましてや、人の寿命は短く、世代を重ねれば記憶は薄れた。


 建国初期にソ連に何度も侵攻し、大敗してきた歴史を人類は忘れていた。ゆえにこそ、人類で内輪もめができていたのかもしれない。
 どこかの世界(マヴラブ)では、敵対的地球外生命体(ベータ)相手に滅亡の危機にあっても内輪もめしていたしね。


 余勢をかって、国際連盟軍はソ連へと侵攻した。だが、待ち構えていたソ連側の激しい抵抗により失敗に終わる。
 ソ連側の逆撃によりドイツ軍は壊滅し、国際連盟は解体された。ソ連の工作により戦艦ポチョムキンの水兵が反乱を起こすと、ドイツは降伏せざるをえなくなったからである。
 この "背後からの一撃" はドイツ国民に "俺たちは戦って負けた訳ではない" という幻想を抱かせる一因となった。


 ここで、なぜソ連が東ドイツを占領してこなかったのかという疑問がある。


「フラン? なんでヨーロッパを占領しないかって? えーっと、それは……そう面倒だからよ!」


 それは、レミリアが日本人だったからだ。なんとなくドイツに親近感を持っていた彼女は、ヨーロッパにはあまり手を出さないでいた。
 もっとも、抵抗が激しく現実的に難しかったという理由もある。


 ハイパーインフレーションに苦しんだドイツは、史実通り国家社会主義ドイツ労働者党(ナチスドイツ)が台頭した。
 アドルフ・ヒトラーの名前を聞いたとき、レミリアは卒倒しそうになった。


 慌てて軍備を固めるように指示をしたが、ソ連の動きは鈍い。長年平和が続いたソ連は、平和ボケが激しかった。一度も負けたことがないという驕りもある。
 そして、その驕りはレミリアを含めた上層部にもあった。


 レミリアなんて ――――


「ソ連の科学力は世界一ィィィィィィ!!!」


 ――と根拠なく思い込んで
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