84部分:TURN8 レーティア=アドルフその八
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TURN8 レーティア=アドルフその八
そのうえでだ。こう言ったのである。
「どうにかして打開して生き残りたいものだな」
「はい、全くです」
「だからこそこうして飛ぶ鳥を落とす勢いのドクツが羨ましいですね」
「我々にとっては」
「そうだ。羨ましい」
実際にそうだと言う宇垣だった。
「日本帝国は荒れ狂う大海の中の小舟だ」
「何時ひっくり返ってもおかしくはない」
「そうした状況ですね」
「生きねばならんのだがな」
宇垣は真剣に日本帝国のことを憂いていた。そのうえでの言葉だった。
そしてその宇垣が見ているレーティアはだ。はじめたのだった。
「諸君、聞こえているだろうか」
まずはこの言葉からだった。
「私はドクツ第三帝国総統レーティア=アドルフだ」
名乗った。そして。
「諸君等は覚えているだろうか。かつてのことを」
「我が国はあの第一次宇宙大戦に破れ全てを失った」
「その我々にエイリスとオフランスはハイエナの様に群がりさらに奪っていった」
「全てを失った我々からさらに容赦なく奪い取っていった」
この言葉を聞いてだ。誰もがだ。
そのエイリスとオフランスの者達を見た。特にドクツの者達は。
敵意と憎悪に満ちた目で彼等を見ていた。その中でだ。
レーティアはさらにだ。壇上で言ったのだった。
「そこには何の情けもなかった。我々を見下し侮り絶望だけを与えた」
「その我々にどの国も救いの手を差し伸べなかった」
この言葉にだ。同情したのは日本、そしてイタリンだった。
だがその他の国々の者達は反応を見せない。特にエイリスとオフランスの者達は。
何も動かない。だがドクツの者達は違っていた。
その時のことを思い出してだ。こう言うのだった。
「そうだ。どの国もだ」
「俺達を助けてくれなかった」
「そしてエイリスとオフランスの奴等はその俺達から」
「何の容赦もなく」
こう言ってだ。彼等を見るのだった。そしてだ。
レーティアはだ。さらに言うのだった。
「諸君は忘れていないだろう、その過去のドクツ」
国民達にだ。訴えたのである。
「星のない夜、孤児達に満ちた町、踏み躙られた祖国」
「貧困の真っ只中、そして絶望の中死んでいく同胞達」
「そしてその中には」
レーティアは言った。
「私の父、母、祖父に祖母」
そしてだった。
「私の幼かった妹まで、全て奪われた!エイリスとオフランスの者達に全てを奪われ餓死していった!だが誰も私達を救おうとしなかった!だが!」
それでもだと。レーティアは言った。続く言葉は。
「私は立ち上がった!このドクツの為に!」
ドクツの国民達にだ。訴えたのだ。
「ドクツは甦った!力を取り戻した!そしてだ!」
そして。次は。
「次に取り
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