第百三十二話 残暑に入ってきてその八
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「それぞれの色がありまして」
「歌とですか」
「声ですね、この場合は」
「ああ、声ですか」
「声はそれぞれの人で違いますね」
「はい、違います」
このことは僕もわかった、声はまさに十人十色だ。誰一人として同じ声の人はいない。
「それは」
「そしてピアノもですか」
「それぞれの人の演奏の色がありまして」
「この演奏は早百合さんの演奏ですか」
「はい、間違いありません」
「そうなんですね」
「そしてです」
早百合さんは僕にさらに話してくれた。
「マイヤーベーヤの曲もです」
「早百合さんならですね」
「演奏してくれます」
「弾いてくれますか」
「聴かれますか?」
「はい、ここまできたら」
それならとだ、僕は裕子さんに答えた。
「そうさせてもらいます」
「それでは」
「歌劇も本当に多いですね」
「現在上演されている作品だけでもかなりあります」
「何百とですか」
「まさに、そして特に上演されるのは」
そうした作品はというと。
「ABCとありまして」
「歌劇のですか」
「はい、アイーダとボエームとカルメンです」
この三つの作品だというのだ。
「この三つの作品です」
「確かにうちの歌劇場でもよく上演されていますね」
「そうですよね」
「三つ共観たことがあります」
僕にしてもだ、それでどんなあらすじかも何処でどんな歌が歌われるのかも知っている。
「特にアイーダが好きです」
「あの作品ですか」
「合唱曲もいいですし」
「アイーダは名作です」
早百合さんは僕にアイーダについても話してくれた。
「まさに歌劇と言っていい」
「そうした作品ですよね」
「その合唱もバレエもあって」
「あらすじもよくて」
「完成度の非常に高い作品です」
早百合さんはアイーダにこうまで言った。
「他の二つの作品も素晴らしいですが」
「ボエームもカルメンも」
「特にカルメンはよく上演されます」
「その三つの作品の中でも」
「人気があるので」
だからだというのだ。
「ですから」
「上演すれば人が来てくれる」
「そうした作品なので」
だからこそ、というのだ。
「私達もよく演目に選びます」
「顧問の先生もですね」
「この三つの作品でも特にとです」
カルメン、この作品はというのだ。
「いい勉強になると言われています」
「歌劇の中でも」
「はい、いい音楽が多く演出もやりがいがある」
「それで上演も多いですか」
「そうです」
実際にというのだ。
「私も好きな作品です」
「カルメンお好きですか」
「出たこともありますし」
「ええと、カルメンで」
「いえ、ミカエラです」
もう一人のヒロインで主人公にあたるドン=ホセの故郷の婚約者だ。何でもメリメの原作
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