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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第百三十二話 残暑に入ってきてその七
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「出来ますか?」
「はい、CDでもありますが」
「そうなんですか」
「歌劇場の視聴覚室にあります」
 あそこにというのだ。
「マイヤーベーヤのCDも」
「そうなんですね」
「他にも多くの作曲家の歌劇の作品がありますが」
「マイヤーベーヤもですか」
「ありまして」
 それでというのだ。
「聴くことが出来ます」
「そうなんですね」
「そしてです」
「まだ聴ける場所があるんですか」
「早百合さんが弾けます」
 さっき僕が考えの中で出したこの人がというのだ。
「あの人が」
「あっ、そうなんですか」
「ピアノで」
「マイヤーベーヤも弾けるんですね」
「ピアノ部の所有している楽譜はかなりのもので」
「それでマイヤーベーヤもあって」
「弾けます」
 そうだとだ、裕子さんは僕に話してくれた。
「それも出来ます」
「あの人色々な曲を弾けますね」
「ポップスやジャズも弾けますしね」
「そうですよね」
「日本の音楽も」
 文部省唱歌とかそういうものまでだ。
「弾けて」
「第一はクラシックで」
「そのクラシックの中で、ですね」
「マイヤーベーヤも弾けますので」
「それじゃあですね」
「これからピアノ部に行けば」
 そこで、というのだ。
「聴けますが」
「早百合さんに迷惑じゃ」
 お昼休みにお邪魔してもとだ、僕はここで思った。
「そうじゃないですか?」
「いえ、早百合さんにとって休憩の時はです」
 その時はというと。
「指を休める場合でなければ」
「弾いている時ですか」
「そうした人なので」
 そういえばそうだ、早百合さんはとにかくピアノを弾くのが好きな人だ。オフは自分の好きな漫画を描くというプロの漫画家さんみたいな人だ。
「おそらく今もです」
「弾かれてますね」
「そうだと思います。若し弾かれていたら」
「そろそろですかね」
「聴こえてきますね」
「そうですね」
 僕は無意識のうちに耳を澄ました、そろそろピアノ部がピアノを弾いていると聴こえて来る場所に来たからだ。
 そして耳を澄ませるとだ、確かにだった。そのピアノの曲が聴こえてきてだ、僕は裕子さんに笑顔で言った。
「聴こえてきましたね」
「この音は」
「早百合さんのですか?」
「休憩でも弾いていてそれに」
 裕子さんは僕ににこりと笑って話してくれた。
「この音はです」
「わかるんですね」
「はい、早百合さんの音です」
 あの人のピアノの演奏だというのだ。
「間違いなく」
「そうしたこともわかるんですか」
「はい、ピアノの演奏も」
 その音もというのだ。
「わかります」
「上手下手で」
「それもありますが」
「そうですか」
「はい、あと音の色がありまして」
「音の色ですか」
「ピアノの
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