決戦開始
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。しかし、運営側が予想以上の観客に対応するべく開場を早め、雪崩れ込むようにスタンドを埋め尽くすと、彼女たちの顔が一転し固くなっていた。
「ニャニャ!!」
「あ!!ごめん凛!!」
キャッチボールも腕が振れずに球がバラけている。一方のUTXはさすが春の王者。普段通りのアップを行っており選手たちの表情にも余裕が見える。
(一辺声をかけて落ち着かせるか。このままじゃ試合にならなくなる)
このままではまともな試合ができないと判断した剛は一度声をかけようと全員を集めようとした。
パシッ
「ごめん、穂乃果ちゃん」
「大丈夫大丈夫!!いい球来てるよ花陽ちゃん!!海未ちゃんもいい動きできてるね!!」
「あ・・・ありがとうございます」
そんな選手たちの中で1人だけいつも通りの明るさを保っている少女がいた。彼女は多くの観客がいることに全く気にした様子がない。
「穂乃果ちゃん、緊張しないの?」
「え?なんで?」
「なんでってアンタ・・・」
「こんなに人がいるのに・・・」
なぜ彼女が平気なのかわからず問いかける一同。すると穂乃果はいつも通りの笑顔で答えた。
「確かにそうだけど、でも穂乃果たちはみんなに音ノ木坂を知ってもらうために野球を始めたんだよ!!だったらもっともっとアピールできるようにいっぱいの人に見てもらいたいじゃん!!」
元々色んな人に自分たちのことを知ってもらうために始めた野球。だからこそ、これだけの観客に見られることはありがたいことだと言う穂乃果。それを聞いて、海未と絵里が吹き出す。
「あ!!なんで2人とも笑うの!?」
「だって・・・ねぇ?」
「はい。まさかそこまで単純だとは・・・」
2人に釣られて他の面々も笑い出す。それを見た剛は、またしても穂乃果のキャプテンとしての資質に驚かされつつベンチへと戻る。
(これでまともに戦えるだろう。問題は今日の打順だが・・・)
ベンチに座りオーダー表とにらめっこ。しばらく考えた彼はゆっくりとペンを動かし始めた。
『ただいまより、全国女子高校野球選手権大会決勝、UTX学園対音ノ木坂学院の試合に先立ちまして、両校の――――』
決勝戦がまもなく始まるその頃、スタンド目指して大急ぎで駆けていく2人の少女がいた。
「雪穂!!早く早く!!」
「待ってよ亜里沙!!」
その2人とは絵里の妹である亜里沙と穂乃果の妹である雪穂。2人はスタンドに着くと、辺り一面人だらけのその場に感嘆の声を上げる。
「うわぁ・・・もうほとんど席埋まっちゃってるよ」
「席空いてるかな?」
辺りをキョロキョロしながら空いている席を探していると、運良く並んで空いている席を発見する。
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