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緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~
~False accusation of I・U - 862 years~
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なパートナーが必要なの。適切なパートナーは、アリア自信の能力を何倍にも引き延ばしてくれる……。アリア、曾お爺さまにも、お祖母さまにも、優秀なパートナーがいらっしゃったでしょう?」

「…………それは、ロンドンで耳にタコができるぐらい聞かされたわよ。分かってる」

「神崎。時間だ」

壁際に立っていた管理官が、壁の時計を見ながら告げる。

「ママ、待ってて。必ず公判までに真犯人を全員捕まえるから」

「焦ってはダメよアリア。あなたが心配なの。ちゃんとパートナーと一緒に行動しなさい。自分の能力を最大限に発揮できないと、イ・ウーには勝てないわ」

「でも…………」

「アリア。私の最高裁は弁護士先生が一生懸命引き延ばしてくれてる。まずはパートナーとの協力、これが出来ないとダメ」

「…………分かった」

「彩斗さん、アリアを宜しくお願いします」

「……はい」

「時間だ!」

アリアを宥めようとアクリル板に身を乗り出したかなえさんを、管理官が羽交い締めにするような形で引っ張り戻した。

「あっ…………!」

「やめろッ!ママに乱暴するな!」

アリアはまるで猛獣のように犬歯をむき、赤紫色(カメリア)の瞳を激昂させてアクリル板に飛びかかった。
だが板は透明でも、厚く硬い。もちろん少しも歪まず、アリアを受け付けない。

かなえさんはアリアを心配そうに見ながら、2人がかりで引きずられるようにして運ばれていった。

―ゴトンッ…………

「訴えてやる。あんな扱い、していいワケがない。絶対…………訴えてやるッ! 」

と独り言しながら、曇り空の新宿駅へ戻るアリアに………
俺は、何も声をかけられずにいた。

「…………」

かつん…かつん…かつん。

ミュールを鳴らしてアルタ前まで戻ってきたアリアは、急に―かつ……ん。立ち止まった。
俺も、立ち止まる。

背後から見れば、アリアは顔を伏せ、肩を怒らせ、伸ばした手を震えるほどに強く、握りしめていた。

ぽた。
ぽた………ぽたた。

足元に、何粒かの水滴が落ちてはじけている。
…………聞くまでもない、アリアの涙だった。

「アリア……」

「泣いてなんかない」

怒ったように言うアリアは、顔を伏せたまま震えていた。 町を歩く人々は道の真ん中に立ち止まる俺たちを、
ニヤニヤと見ている。痴話喧嘩か何かだと思っているのだろう。

「おい……アリア」

少し背をかがめて顔を除きこむと……

ぽろ……ぽろ。ぽろ。

前髪に隠れた目から、うつむいた白い頬を伝って、雫がしたたる。

「な…………泣いてなんか……」

と言うアリアは歯を食いしばり、きつく閉じた目から涙を溢れさせ続けていた。


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