4・別世界にて
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孔雀は阿修羅をからかうようにベロベロバをして逃げ出した。
「もう、許さないんだから!!待てぇー、孔雀!!」
二人は鬼ごっこを始めた。そして、お互い笑いあった。その時、車の止まる音が聞こえた。
「おぃおぃ、相変わらず仲のいいことだな」
車から降りてきた全身黒ずくめの大男がにやりと笑って言った。
「あっ、鬼丸。おひさぁー」
阿修羅はその大男に向かってにっこりと微笑んで手を振った。
「お、おう。ちょっと見ないうちに垢抜けたじゃないか、阿修羅」
鬼丸と呼ばれた大男は頬を軽く掻いた。
「そうかなぁ」
阿修羅は体をくねらせながら言った。
「おい、おい、天下の鬼丸さんは眼がおかしくなったんじゃないか」
孔雀は鬼丸の表情をみて、横腹を軽く肘でついた。
「馬鹿野郎。だから、お前は女の扱いがなってないんだよ」
「そうだ、そうだ。孔雀は馬鹿なんだよ」
鬼丸の言葉に呼応するように阿修羅は孔雀にかみついた。
「へいへい、俺は女の扱いは下手ですよ。でも、阿修羅が垢抜けたなんて微塵にも思ってないからな」
孔雀は阿修羅に向かって下をだした。
「あんたねぇー、また阿修羅ちゃんパンチをくらいたいの?」
阿修羅は拳を振り上げた。
「おぉー、怖い怖い」
孔雀は笑いながら体を抱え震えるような素振りをした。
「いい加減にせんか、二人とも」
鬼丸が運転してきた車から小柄な老人が降りてきて二人のじゃれあいを止めた。
「あっ、おじいちゃん、お帰りなさい」
阿修羅はその老人に手を振った。
「おかえりなさいませ、お師匠様」
孔雀は胸の前で合掌しながら一礼した。
「阿修羅、学校はどうだ?」
老人は眼を細めて阿修羅をみた。
「楽しいよ。今日は丁度、そばまで来たから、ここに寄ってみたんだ」
阿修羅はにっこり微笑んで老人に言った。
「そうか、それはよかったな。ところで、孔雀、ちゃんと修行しておったか?」
老人は鋭い目つきに変わり、孔雀に言った。
「も、もちろんですとも。ですが、修行の最中に邪魔が入りまして」
孔雀は老人の視線から目を離し、苦笑いを浮かべた。
「な、なんですってぇーーーー!!おじいちゃん、孔雀ったらね、修行をさぼって私のお金でパチンコ行こうとしてたんだよ!!」
「あ、こ、こら、阿修羅」
阿修羅の思わぬ告げ口に孔雀はあわてふためいた。そんな孔雀を尻目に阿修羅は腕を組んで孔雀から目をそむけた。
「まったく・・・・」
老人は深くため息をついた。
「阿修羅や、そのことについては後でしっかり孔雀にお灸を添えてやる。が、孔雀よ、少し話がある。本堂へ来い。それと、鬼丸、お前もな」
老人はそういうとゆっくり歩きだした。
「ちょ、ちょっとまて。俺はこいつらの喧嘩には関係ないぞ」
鬼丸は強い
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