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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第21話『奪われた流星の丘アルサス〜忍び寄る魔王の時代』【Bパート 】
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かった。
凱だけが悪いわけじゃない。
それでも、仲間を守れなかった罪の意識は、凱の中でずっと駆け巡っていた。
今、アルサスで起きている惨状。
少女が泣き、侍女が悲しむ。
傭兵が見つめ、勇者が悔やむ。
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「き……さ……ま……」
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瞬間――凱の一撃を喰らったにもかかわらず、ふらふらと千鳥足で歩み寄る兵士が女たちの視界に入る!
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「貴様等……に……『死』をぉぉぉ!!」
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最も無力な存在と思われるティッタと一人の少女に、兵士は残された力を振り絞って強襲する!
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「ティッタ!?」
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一瞬、凱の反応が遅れる。
半瞬、フィーネがティッタ達二人を懐に巻き込みながら回避。片方の翼刃で斬撃を裁く。
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「しぶとい!いい加減に……」
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片腕だけでは、如何せん敵の剣戟を押し返すだけの膂力が足りない。
とびかかる凱の行動とて、一足分届かない。
それでも、ティッタ達を守る為に身を挺し、フィーネが双剣の片翼を振りかざそうとした、その時だった――
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―――――――――ドスッ!!―――――――――
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何か、肉を斬り裂いたことがはっきりとわかる音のこだまり。
兵士の顔面から肉片と血飛沫と共に突き出ているのは、漆黒の『フランベルジュ』たる切先。
わずかに漂う、こんがりとした脳ミソの焼ける匂い。
間違いない。あの『銀髪の悪鬼』の仕業だ。
?
「あ……ああ」
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突然の出来事に、ティッタは言葉にならない発声を口にした。
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ヒュン――風を切るフランベルジュの刃が、刀身にこびりついた血のりを振り払う。
そして、フン――と鼻を鳴らし、何を呆れたのか、苛立ったのか分からぬ仕草で凱に睨みつける。
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「……あの野郎。てっきり虎穴(ネメタクム)へ向かっていると思ったが……」
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視線を凱に移す。
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「貴様、こんなところでまだモタモタしていやがる?」
「シーグフリード?」
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フィーネは目を見開いてつぶやいた。
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「……知り合い……なのですか?」
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対してティッタは、フィーネに顔を向ける。疑問に満ちた声で問いかけた。
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「顔見知りだ」
?
フィーネの口調はどこかそっけなかった。最も、その意味を察することが出来るものなどそういない。
何というべきか――フィーネも『バーバ・ヤガーの神殿』で起きた出来事を、あまり深く語りたくないのも事実であり、凱にとっても想定を上回る予想外だったのだから。
悪鬼羅刹の斬り合いを演じた獅子達の再会だった。
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「シーグフリードか」
?
短く、凱は銀髪鬼の名を告げた。
その『隙』に『背後』から凱へ襲い掛かった兵は、アリファールの鞘とい
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