第21話『奪われた流星の丘アルサス〜忍び寄る魔王の時代』【Bパート 】
[18/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を与えられているのだ。
弓も銃も引くことにためらいさえなければ、本質は同じかもしれない。
問い直せば、これが最後の機会と告げんばかりに、ザイアンを突き付ける。
?
「全ては『焼き払う』為の戦いだ!それすらも忘れたのか!貴様!」
?
魔王は息子の当惑に全く意に介さない。そして迷いさえも含まれていない。
彼らの間には、あらゆる理解が存在しない。溺愛する父はその面影すら見えない。あるのは、見えざる壁と遠ざかる距離間だけだった。
自分の命を救ってくれたティッタの為に、父を説得できると思っていた自分はとんだ大バカ者だった。
フェリックスは息子の想いなど気にも留めない。たくましき腕で息子を突き飛ばし、ザイアンはたまらず尻もちをつく。
?
「答えろ!答えなけれ……討つ!」
?
打つ。討つ。撃つ。たった一言だが、明確な殺意を向けられたザイアンはあきらめざるを得なかった。
そして涙をこらえつつ、緑色の海から押し寄せる絶望の波にうちひしがれる。
改めて思う。自分は愚者の一人にすぎなかった。父はすでに銃という亡霊にとりつかれたものの一人だったことを、既に理解していた。していたのに。
理を説いても、情で訴えても、この男を止めることはできない。
?
(これでは……ダメだ!この人をブリューヌ・ジスタート双方の『玉座』に据えてしまったら、世界は『魔』の環境に作り変えられてしまう!)
?
数多の躯と流れる血。それだけになってしまう。
ひとつの時代の終焉と、知的生命体の滅亡。摂理に従って行動する魔王。
かろうじて機能している『玉座』をひっくり返す――ブリューヌ・ジスタート転覆計画。
?
「父上!覚悟!」
?
ついに意を決し、ザイアンはあらかじめ『安全装置』を外しておいた銃を懐から取り出し、父に銃口を向ける。
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
――銃口が火を噴きだし、銃声が両者の耳にたたきつけられる。
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
しかし、灼熱のような弾丸はザイアンの右肩を容赦なく貫く。数拍おいて、あの時『テラスの隙間』からヴォルン伯爵に右手を貫かれた痛覚がよみがえる。
生温かい血が、ザイアンを濡らしていく。
突如放たれた銃声を聞いて、テナルディエの側近が駆けつけてくる。
?
次々と抑え込んでくる手と手、足と足。地べたに這いつくばったザイアンの胸元から、一枚の皮羊紙がひらりと落ちる。
?
独立交易都市からもたらされた機械文明の一つ。『写真投影』。
かつてヴィクトールが凱にフェリックスの正面写真を見せたものと同質のもの。
?
『写真』に映る幼き自分と、自分をあやす父の笑顔。
厳岩のごとき表情は『相』も変わら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ