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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第21話『奪われた流星の丘アルサス〜忍び寄る魔王の時代』【Bパート 】
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手』だと」
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鬼手。それは、東洋将棋(ヤーファ)における、直接的に勝利へ結びつく一手。
鬼子が己へ恐声を上げた瞬間、鬼剣の使い手は生まれ出でる。
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「ただ、どうしてノアがテナルディエに従っているのか、俺にもわからない。もしかしたら、シーグフリードが何か知っているかもしれないが、あいつはあんな性格だ。多分知っていても教えはしないと思う」
「…………そうだったのか」
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少々残念に思うフィーネだが、いずれ戦いの中ではっきりするだろう。どのみち、もうすぐテナルディエとの対面だ。焦らずともいいと自分に言い聞かせる。
そして凱の視界には――――ティグルの屋敷が見えてきた。
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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――――凱たちがセレスタへ訪れる少し前のこと。
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「民とは所詮……葡萄酒(ヴィノー)の原液。狩るも枯らすも我ら逆星の――――自由!」
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その発言の苛烈さとおぞましさに、長年仕えているテナルディエの側近さえも息をのんだ。
絞れるものは極限まで搾り取る。労働の原液たる『血』と『汗』と『涙』さえも、この魔王は冷笑をうかべてそう告げた。
セレスタの街中は暗く、かがり火をいくつか焚いている。しかし、肝心の発掘部ではかがり火の明るさが届いていない。
理由は、舞い散った火の粉が『燃える水』に引火するからだ。
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セレスタの屋敷前――テナルディエの為にこしらえた一つの……玉座。
この玉座は、セレスタ一帯を監視するために作られた簡易的な木造椅子にすぎない。が、どういうわけか、テナルディエはこのような素朴な造りが好みだった。それは、栄華誇る公爵家の環境で育ってきた、常に豪華な装飾や建造品を見飽きていた反動衝撃(リバウンド)かもしれない。
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一人の無知なる民が、こう申し上げた。「オラァ暗くて見えない」と。
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対して魔王は、「ならば、夜より深き闇をも見分ける『光の眼』を与えよう」と。
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これが、無知なる民に魔王が与えたもう英知にして光の正体。
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光届かぬ世界――発掘の奥深くまで照らせる光――独立交易都市(ハウスマン)からもたらされた文明の一つ。『投光照明(グランドフォーム)』。
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独立交易都市では『定時』になると、外柱の頂点に設置されている『玉鋼』が、街中の歩道を均一かつ適度の『照度』で点灯する。
本来なら、それらは『一日を労う夜の陽光』に成りえたはずだ。
だが、ティル=ナ=ファの司る『夜』を奪い、『闇』に逆らう機械仕掛けの『光』は、民の安眠さえも奪っている。
文字通り奴隷として働く彼らアルサスの民に、もはやどちらが『夜』か『朝』か――分からなくなっていた。
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先ほどのテナルディエ
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