アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
舞うは雪、流れるは雲B
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
アースラの艦長室、クロノはこれまでの情報を纏めつつ、ある事を調べていた。そんな彼に通信が入る。相手の名前を確かめると、繋げるなりこう言った。
「何か見つかったのか、ユーノ。」
「……あのね、クロノ。こういう時、挨拶くらいは挟むものだと思うんだけど。」
「今は時間が惜しい。」
通話の相手、ユーノ・スクライアはそんな友人の様子に苦笑し、「ハイこれ。」とデータを送信する。
「……これは?」
「分からない。開封には提督以上の権限レベルが必要だったんだ。」
送られて来たのは何かの研究ファイルと思われる資料。題名は無く、研究者の名前だけが小さく書かれている。その名前は……
「……白峰日暮、奴の父親か。」
幸い、アースラ艦長たるクロノには簡単に中を見る事が出来た。読み進めていく内に、クロノの顔色が変わる。
「……どうしたの?」
「……読んでみてくれ。」
クロノから回されたデータを見たユーノは眼を見開く。
「え……これって、…………と同じ……?」
「……ああ。詳細こそ違うがな。」
「……これ、なのは達には?」
「……しばらくは伝えない。余計な情報を与えて迷わせたく無い。」
そこにあった真実は、彼女達の意思を鈍らせるには十分であろう。そう判断したクロノはこの事実を己の胸の内に納めておく事に決めた。
「……で、これだけか?」
「いや、もう一つあってね。正直こっちが本命だと思ってたんだけど……。」
そう言いながらユーノが送ったのは嘱託魔導師の登録の書類だ。
「……この資料がどうした?」
「協力部署の名前を見てみて。」
言われた通り確認したクロノ、数秒考えてようやくユーノの言わんとしている事に気付く。と、同時に先程のファイルに及ばないまでも衝撃を受けた。
「……次元航行艦アルビオン。」
「うん……グレアム提督の、現役最後の赴任先がアージェントだったんだ。」
「……少々不味いですね、アレを凌ぎますか。」
ミミが小さく呟く。視線の先には左腕をだらんと垂れ下がらせながらも、未だに闘志の衰えないザフィーラの姿がある。ミミの最大火力《サイレント・アヴァランチ》をまともに受け止めた結果だ。
恐らくこのまま押し切れば勝てる。勝てるのだが、それには主である暁人から魔力供給を受けなくては間に合わない。そしてそれは、ミミの本意では無い。
『……撤退しろ、ミミ。』
丁度そのタイミングで、暁人からの念話が入る。
『ご主人様……ですが、』
『威力偵察と戦力の漸減という目的は達成したんだ。欲張る必要は無い。』
確かに、ザフィーラの腕は回復魔法を使用しても直ぐには使えないだろう。そ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ