アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
舞うは雪、流れるは雲B
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ういう意味では、最低限の結果は果たした事になる。
『それと…奴ら、何か企んでそうだ。その対策もあるからそっちに魔力を回せない。』
『……分かりました。手筈通りお待ちしてます。』
『頼む。』
念話が切れる。選択肢が決まった以上、ミミに迷いは無い。ザフィーラとシャマルの機動力ではミミに追随出来ないため、引き離すのも簡単だ。
そうして踵を返したミミを引き留めたのは、ザフィーラのこんな言葉だった。
「お前は、信じてるのか?」
「……何をです?」
「お前の、お前の主の行いを、だ。」
「当然です。ご主人様の行動は正しい。で、ある以上、使い魔たる私が迷う事はありません。」
「本当にか?他者を犠牲に、大切な者のみの幸せを掴む。そんな行動に未来があるのか?……我々が言えた事ではないがな。」
「私たちも今なら分かるわ。自分達だけの狭い世界で幸せを手に入れても、それが本当の幸せ足り得ないって。だから……」
「だから……何なのですか?考え直せとでも?」
ミミの口調は実に冷ややかだ。躊躇なく、容赦もなく、言葉の刃を振りかざす。
「……良いことを教えてあげます。ご主人様は、自分が間違っていると誰よりも自覚しています。」
「……何?」
「お嬢様の為に世界を敵に回すことも、誰かを傷付ける事も、すべて独り善がりの理屈に過ぎないと、ご主人様が一番理解しているのです。………ですから、使い魔の私が迷う事は許されない。私だけは、ご主人様を100%肯定しなければならないのだから。」
ミミの言葉は揺るぎなく、本人の覚悟も相まって一切の反論を許さない迫力があった。
「……話し過ぎましたね。失礼致します。」
去っていくミミを、二人は呆然と見送る事しか出来なかった。
「セッ!!」
氷の巨剣が空を薙ぐ。シグナムとヴィータの二人は、既に100mより内側には近付けないレベルだ。しかし、二人は焦ってはいなかった。
『ヴィータ、奴をここに留めれば我々の勝ちだ。欲張るなよ。』
『分かってるよ。あと二分、それで終わりだ。』
二分、それがはやてが魔力のチャージを完了し、照準を終えるまでの時間だ。その時までここに暁人を足止めすれば彼の勝ちである。
しかし、暁人がそんな彼らの様子を看破出来ない訳が無かった。二人が時間を稼いでいる事は読めたし、その狙いも大体検討はついていた。
(アースラからの艦砲射撃か、八神はやての広域魔法か……恐らく後者か。当然炎熱系統で、一撃で決めに来るだろうな。逃げれるのは簡単だが……さて。)
本来ならこの時点で逃げの一手をうつ暁人だが、次の作戦を考えると、此処で実力を見せておく必要があった。
(……受け止
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