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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邪願 1
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中身が飛び出していたが、そこにアニメの台本があった。たまさか私の知っている作品だったのでわかったが、あれはもう何年も前に終わった作品だ。リアルタイムで放送はしていない。つまり養成所なんかで練習用に使われる台本だろう。ちがうかね?」
「いえ、合ってます。あたし、声優の専門学校に通って勉強してる声優の卵です。アテレコや発声練習のほかにも、歌のレッスンも……。あの、ええと、あたし花園彩菜っていいます。マスターもひょっとして歌やお芝居の経験があるんじゃないですか? すごい渋くて良い声してますよ。素手でモビルスーツを壊したり布でビームを弾いたりできそうな声です!」
「ハハハ、そう言ってもらえると光栄だよ、マドモアゼル。そういうきみこそ、すべての人間を愛する妖刀を身に宿した巨乳の眼鏡っ娘みたいな魅力的な声をしているよ」
「あはは! なんですかそれ」

 気づかい、慰めてくれる人の存在がありがたかった。
 尊勝陀羅尼の札よりも、人のぬくもりに救われた彩菜は安堵の表情を浮かべて店を後にし、無事に家に帰ることができた。
 
「…………」

 彩菜が店を出るとあとに残されたマスターは片目のアイパッチを軽くたくし上げると、そこには磨かれた翡翠のように緑色に輝く瞳があった。
 
「ふむ……、強力な陰陽師の助けを得る、か……。どうやら私が動く必要はなさそうだ」

 霊眼が彩菜の行く末を視たが、大事には至らない。
 そう確信したマスターは義手の鋏を振るい、器用に丸氷を作りはじめた。
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