第八幕その六
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「僕も今から楽しみだよ」
「是非楽しんできてね、演目は何かな」
「曽根崎心中なんだ」
「ああ、近松門左衛門の」
「それを観るんだ」
「心中は江戸時代はかなり重い罪だったんだ」
そうだったというのです。
「けれどそれでも日本人は適わない恋に美を見てね」
「それでなんだ」
「浄瑠璃や歌舞伎にもしたんだ」
「そういえば曽根崎心中も歌舞伎になってるね」
「歌舞伎と浄瑠璃は重なる演目も多いよ」
「そうみたいだね」
「それでね」
先生は王子にさらにお話します。
「門左衛門の作品は他にもあってそちらも歌舞伎になっているから」
「それを観るのもだね」
「いいよ」
そうだというのです。
「心を打たれる筈だよ」
「じゃあ歌舞伎で観る時があったら」
「その時もだね」
「楽しませてもらうよ」
「是非ね」
こうしたお話をしてです、王子は浄瑠璃を観に行きました。そして先生達は晩御飯を楽しんだのですが。
次の日です、先生は動物の皆と学校に入りましたが朝起きてから思うのでした。
「まだ寒いね」
「これ四月?」
「日本の四月の気候?」
「寒いよ、まだ」
「三月の上旬位かな」
「それ位の寒さだよ」
「何でまだこんなに寒いの?」
先生も動物の皆も言います。
「こんなに寒い日本の春はじめて」
「雪も降って積もったり」
「幾ら神戸が涼しいっていっても」
「これは寒過ぎるわ」
「四月じゃないみたい」
「桜咲くのかしら」
「不安になってきたわ」
「そうだね、ここまで寒いとね」
先生も言います、梅や桃は咲いて若葉が木々を覆っていますがそれでも先生も不安に感じだしています。
「これはね」
「桜もだよね」
「果たしてどうなるか」
「咲くかな、いつも通り」
「果たして」
「不安になってきたね、もうここはね」
先生が言うには。
「桜や春の精霊達に頑張って欲しいね」
「是非ね」
「そうして欲しいよね」
「もうこうした状況になったら」
「頑張って欲しいわ」
「是非」
「うん、それとね」
先生はさらに言いました。
「太閤さんも力を貸してくれたら」
「太閤さんって豊臣秀吉さんだね」
「お百姓さんから天下人になった」
「大阪のお城も築いた」
「あの人だよね」
「あの人は桜が大好きだったんだ」
そうだったというのです。
「だからね」
「太閤さんにもなんだ」
「力を貸して欲しいんだ」
「桜が大好きだったあの人に」
「そうして欲しいんだ」
「うん、どうにかね」
桜がいつも通り咲く様にです。
「そうも思ったよ」
「桜や春の精霊にだね」
「太閤さんにもだね」
「働いてもらって」
「そのうえで」
「そうも思ったけれど」
こうも言った先生でした。
「太閤さ
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