蛇足の部 秋山殿とストーカー
【特報】秋山殿、ストーカーを撃破す!
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見せ続ければ必ず通じると信じて、必死にメールを送り続ける。
それが100通を超えたころだろうか、彼のメールボックスに「Re:ぜひお会いしたいです」という、待ちに待った返信が来た。内容はただ待ち合わせの日時と場所を伝える素っ気ないものだったが、伊号戦車は天にも昇る心地だった。
そして約束の日時まで36時間ほどあるにもかかわらず、彼はブルーシート持参でその公園に立てこもった。いわゆる「徹夜組」の経験だけはありすぎる伊号戦車にとってはもはや野宿徹夜など、ものの数ではなかった。
もちろん公園ごとに設置されている防犯カメラには、彼の姿ははっきりと写っている。
そして伊号戦車が籠城し始めて36時間が経とうとするころ。
すでに日は落ちて、甲板には人工の明かりが満ちあふれているが、公園には申しわけ程度の防犯灯だけが灯っている。
その防犯灯に照らされながら、伊号戦車はじっと立ったまま優花里が来るのを待っていた。
ああ、とうとうこの日が来た。
彼女なら、自分と同じお○く趣味の彼女なら、きっと僕とつきあってくれるはずだ。
お○くだと言うだけで離れていく他の女どもとは違う。
彼女ならきっとわかってくれる。あきらめたらそこでノーサイドだ。
あきらめなくて良かった。これが神の導きでなくてなんであろう。
恍惚とした表情を浮かべながら、そんなことばかり考えている伊号戦車。
しかしこいつは、もっと想像するべきだった。
秋山優花里はスーパーミリ○タチャンピオンである以前に、普通の美少女なのだと言うことを。
ミリ○タの部分は、彼女の趣味の領域に過ぎないことを。
そして彼女を個性づけているしゃべり方の特徴の80%は、語尾口調ではなく、その独特のイントネーションにあると言うことを。
むろん、伊号戦車はお○く(=普通人)ではなく完全に別な「何か」なのだが、本人に自覚できるくらいなら、そもそもこんな大惨事になっていない。
例の「7TP」のロゴ入りシャツにスパッツ姿で件の公園に現れた優花里は、最初ゾッとして、つづいて怒りがこみ上げてきた。
防犯灯の下の超ピザ体型で丸眼鏡をキラーンとさせて、自分が愛用しているのと同じサックを背負った男が着用しているのも「7TP」のロゴ入りシャツ! まるでペアルックと言わんばかりに。
ついつい「やめろー!」と叫びたくなるのを全力でこらえながら、優花里はゆっくりと伊号戦車の前、2m離れたところに歩み寄る。
もちろん優花里は単身ではない。公園が面している遊歩道には左右に柔道有段者の警官と、柔術剣道合気道銃剣道長刀道書道棋道全部あわせて五十段のみほがいる。
しかし、それはあくまで事後の備え、後詰めであった。
優花里はどこまでも、自分で決着をつけるつもりなのだ。
「自分は
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