暁 〜小説投稿サイト〜
大洗女子 第64回全国大会に出場せず
蛇足の部 秋山殿とストーカー
【特報】秋山殿、ストーカーを撃破す!
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ながら、彼女宛のファンレターは、そういう系統のマニアばかりと言ってよかった。
 マニアなど生やさしい「スノッブ」レベルの彼女が、こういう手紙に喜んだのは当然である。
 ほんの数通ということもあってか、優花里はあっさり「文通」を始めてしまった。
 しかし、ある者は提示できるネタに新鮮みがなく、常識程度の話しか出来ないため自然と疎遠になった。またある者は彼女の「重箱の隅」レベルのやりとりに疲れて、自分から打ち切った。
 なにしろ優花里は『世界の無名戦車』という書籍の中に名前だけが一回だけしか出てこない戦車すら知っているのだ。普通はそんな者の趣味友になれる奴はそうそういない。
 優花里はやはり鉄道マニアの方が向いていたかもしれない。「秘蔵情報」をいっぱい知っている人間は貴重品扱いされるし、女性も大勢いる。延々と鉄道話をしていても、誰も飽きたりしない。
 なにしろ世界中に存在した鉄道車両のすべてを網羅するようなスノッブは、まず存在しない。
 もしいたら、「神」扱いされるだろう。

 そのようなわけで、ものの二週間ほどで優花里に「ファンレター」を送ってくるものは約一名になってしまった。
 だが、その一名が大問題だった。
 大洗女子の公式SNSに「伊号戦車」なるハンドルで書き込みを続け、全くレスがつかず、誰も彼もが辟易したあげく放置されている輩だったのだ。
 彼は自分の知る限りの戦車知識をこれ見よがしに書き連ねた便せんにして5枚程度の「定期便」を「毎日」送ってくるのである。
 優花里も最初は喜んで「情報交換」していたが、ある日から話が堂々巡りを始めた。
 優花里が「それは前に読んだ」と書いてもまたぞろ同じ話をする。
 つまりネタが切れてもただただ文通がしたいらしい。優花里もさすがに気味が悪くなった。
 そんなとき、伊号戦車は「東京瓦斯電気工業 九五式装甲軌道車」なるもののプラモデルキットを優香里に進呈。あまりのレアすぎぶりに驚喜した優香里はまたまた文通を再開する。
(なお、戦前の軍需企業として名高い「ガスデン」だが、名前を変えていまでも存続している)
 調子に乗った伊号戦車は、「ライントホター 1 ミサイル w/ E-100車台自走砲架」だとか「オブイエークト704」だとか「ホリU型」とか「マレシャル駆逐戦車」だとかのモデルキットを送りつけてくる。
 気がとがめた優花里が「これ以上もらっても『積みプラ』にしかならないから」と言ってご辞退したのでその後は手紙に戻ったが、これがまた女の子なら普通にいやがる露出度の高い判子絵のレターセットで、1日2回定期便で来るようになった。
 しかも自分の私生活の日記みたいな内容に変化している。
 あまりのアレぶりに、優花里は開封するのをもうやめにした。返事も出さないことにした。
 しかし、不幸の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ