蛇足の部 秋山殿とストーカー
【特報】秋山殿、ストーカーを撃破す!
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2013年も春分の日を過ぎて、寒さも遠のきつつあったころのこと。
春暖の候というのがしっくり来る日々がやってきた。
しかし、それにもかかわらず大洗女子学園生徒会副会長、秋山優花里は不機嫌の極みだった。
兆候は昨年の第63回戦車道全国高校生大会から、すでにあった。
第一回戦の対サンダース附属戦を制したあたりから、がぜん大洗女子の注目度が上昇。
それにつれて選手たちも、いろいろな意味で興味や関心の的となった。
決勝戦が始まろうとするころには、全選手の当たり障りのない程度のプロフィールは一般世間に浸透していた。
そして決勝戦が終わり、大洗女子が第63回を制覇した後しばらくは著名人から小学生まで様々な人々から祝電、メール、公式SNSへの書き込み、お祝いの書状などが殺到する。
それらのうち、公立校としての大洗女子全体に宛てたものは学園長に丸投げされた。
未成年の角谷が、名のある政治家や経営者に直接返事をしたためるわけには当然いかない。
問題なのは、いわゆる「ファンレター」だった。
一般的には「ファンレター」には返事をしなくても失礼にはあたらない。
それこそ「暗黙の了解」である。
西住みほなど何も考えずに、「読まずにシュレッダーに食べ」させている。
別に彼女が「ファン」が眼中にないわけではない。黒森峰時代から全部読んでる暇はないだけの話だ。なら差出人のリターンアドレスも含めて残しておかない方がいいのが赤の他人の手紙だ。
概して間違いの元にしかならない。それにどのみち続いても半月かそこらの話だ。
そもそもみほは「やはり自分にファンが付くなんて間違っている」としか思えない人間だ。
まして彼女は大洗に来る前に、山ほど「ヘイトレター」やカミソリ付きすらもらっているのだ。
他のメンバーにもそれぞれ数通ずつは来ていたが、角谷が「読んでもいいが返事は書くな」と、こういうことに慣れていない彼女たちに釘を刺していた。
武部沙織宛のものは沙織が読んだ後、全部五十鈴華が取り上げた。
これは当然の処置であろう。
冷泉麻子は一読すると即座に処分した。眼球スキャナが即座にPDFに変換し、脳内ストレージにタグをつけて領域を割り当てて整然と書き込んでいく。それに要する時間はミリセカンド以下。
なら原本にもう用はない。やはりシュレッダーのご飯にしておくのがいいだろう。
しかし、誰も彼も一番大事な人間のことを忘れていた。
戦車道組にとってまだ知り合って数ヶ月だから、しかたがないといえばしかたがなかった。
全国大会から大洗動乱までの間で大洗女子戦車道のファンになった者たちのあいだでは、秋山優花里といえば「きわめてコアな軍用車両マニア」で通るようになっていた。
当然のこと
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