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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
最終話 かくして現実は克服される
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録校が持ち寄って運用する。さらに以前から連盟に参加すると言われていた「中立高校」も、参加と同時に『ナイツ』の一員になると内々で伝えてきた。
 もう彼女らは「かませ犬」ではない。群れをなし、連携して戦う狼の集団だ。
 そして今年は継続を優勝させる。それが目標だ。
 つぎはまた、第二回戦で黒森峰と当たる学校が優勝を目指すのだ。
 高校戦車道がまともになるその日まで、鋼鉄の傭兵部隊の戦いは続く。

「風が言っている。『革命か、死か』と」
「もし私たちが巨象に刃向かうカマキリだというのなら、手の施しようのない中二病だというのなら、可能と不可能の区別が付かないドン・キホーテだというのなら」
「何億回でも答えよう」
「そのとおり! だとね♪」

 ふたりは、声を上げて笑う。
 そこに1両のタンクトランスポーターが現れた。
 1両の駆逐戦車を搭載している。どこかで見たような車体の。
 そのトランスポーターの助手席から、小柄な人物が降りてきた。
 VIPがよく「入院」することで知られる東京の某病院から「退院」したばかりの、大学選抜の総司令官である。
 そして、荷台から降りたTas駆逐戦車魔改造を、二人の女子高生に披露する。
 当然のことながら戦車型より、いやそれ以上に背が低い。砲の取り付け位置が高いから俯角はとれなさそうだが、そこは運用だろう。何よりもショットトラップがない。
 機関系はHSS&HL230P45パワーパック。脚はホルストマンサスペンション24輪。
 そして主砲は……

「……これは、88mmL71(現計画では未定)」
「そう、ただし計画と違って最末期のKwk43p。105mmL7A1と同等の威力」
「じゃあ本当は、これにするために買ったの?」
「そうよ。設計図面は存在し、試作条項も車台が作られていたのだから問題ないわ。
 もうすでに3両とも改造を終えて『レンタル』するんだけど、あなたたちにはそのうちの1両を売却するわ。特別に製造原価で大洗女子に譲渡してあげる。だから」
「だから?」

 島田家継嗣は、サングラスの大尉に何か耳打ちする。
 大尉に降格した誰かは、笑ってサムズアップを返した……。
 どうやらこの二人の趣味に関することのようだ。



 第64回戦車道全国高校生大会が、四強つぶし合いで終わるのか、それとももうひと波乱あるのか、まだ誰も知らない。

−Fin−
 
 
 
 
 

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