最終話 かくして現実は克服される
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、したたかに反撃を食らってしまった。みほにとってはしほの望みを打ち砕ければ、それで勝ちなのだ。
「……いや、私がしてやられたのだ」
しはは、自分が負けてしまったことを認めるしかなかった。
翌日、大洗女子生徒会は「知らなかったではすまされない失態であり、連盟に異議申し立ては行わない。大洗女子としては翌年度終了まで全国大会のみならず、すべての対外試合も行わない」と発表して、審判部と連盟が降した処分に服すると表明した。
大洗町教委は「補助金は事実行為に対してのものであり、実際に試合会場まで遠征した大洗女子に対しては補助金返還を求めない」と発表し、これですべてが終わった。
その次の日、茨城県教委はすでに島田家が提起している下北タンクディストリビューションおよび親会社大間崎ホールディングスに対する訴訟に参加することを発表した。
県レベルの地方公共団体が法務や財務のプロを連れて訴訟に乗り込むならば、さらに徹底的な証拠調べや、国の機関による査察すらあり得る。もはや事態は最悪となった。
これ以上傷口を大きくすることは、大間崎グループ全体の破滅につながる。
彼らに残されたのは、無条件降伏しかなかった。
大間崎ホールディングスは直ちに下北タンクディストリビューションの破産を申し立てた。
そして債権者集会に島田家代理人と茨城県代理人を招き、要求された賠償金と訴訟遂行費用を全額支払うことで、ようやく和解にこぎ着けることができた。
こうして暗部に巣くう「政商」は、ここに消滅した。
むろん「大洗女子の奇跡」にも傷は付かない。
強くなりたいばかりに『悪質業者』の下北タンクディストリビューションにつけ込まれて欠陥商品を売りつけられた『被害者』なのに、何の言い訳も抗弁もしなかったから。
表向きはともかく、世間は実際には大洗女子が可哀想だと思っている。
そして、大洗女子は「あと10年は戦える」というだけの資金も得ることになる。
こうして角谷の政略、島田家の戦略、みほの戦術が勝利した。
彼女たちは最後まで「善意の第三者」でいつづけ、悪意であったことは関係者以外の誰にも察知されなかった。
大洗女子を公衆の面前で叩き潰し、「所詮邪道は邪道でしかない」と決めつけ損なった西住しほをのぞいて……。だが彼女もまた口を緘した。これは痛み分けだと理解したから。
それに今の状態でさらに大洗女子戦車道撲滅にこだわれば、今度は西住流自体が鼎の軽重を問われることになる。今は「与えられた勝利」で満足すべきだろう。
なお、下北タンクディストリビューションの債権者集会に西住家は参加しなかったが、後日同社の破産管財人から「債務不履行」として、すでに支払った報酬+2億円+αの金額が振り込まれた。
「完敗だな。……慣れない策謀な
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