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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
第19話 キルゾーン
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 そして大間崎ホールディングスでは、関係者を招集して緊急の取締役会が開かれた。

「戦車事業部をたたむ必要があると思われる」

 大間崎ホールディングスの取締役会に呼ばれた下北タンクディストリビューション代表取締役CEOの蜂延靖盛は、いきなりの「死刑宣告」に仰天する。
 もし裁判が長引いて、これまで彼らがやらかしてきた「営業外」のお仕事のあれやこれやが白日の下にさらされでもしたら、グループ全体がスキャンダルまみれで終了だ。
 取締役たちは、それを恐れている。だからしっぽにすべての責任を押っつけて解体し、白旗掲げて債権者たちに現ナマか資産を渡して矛を収めてもらおうというのだ。
 当然、白旗の代わりに200億円は値切ろうと思っている。

「島田家には要路を通じて、すでに話を持ち込んでいる。
 そのときは君、頼むよ」

 頼む、と言ってはいるが、親会社の役員たちにとっては手足の爪を切る程度のことでしかない。よりによって天下の島田家に大打撃を与えて家元継嗣を病院送りにしてしまったのだ。知らなかった、くわしくありませんでしたですむわけがない。営業所長の首ごときでおさまる問題ではない。
 すでに蜂延も原野も辞表を出したが、当然握りつぶされた。
 いまや下北タンクディストリビューションの株券は紙切れ、親会社の資産の1割が失われた上に信用まで壊滅状態だ。役員たちが怒鳴り出さないだけ大したものだ。
 しかし、その時秘書室長が会長に何かを耳打ちする。みるみる会長の顔が青ざめる。

「島田家は、民法上のいかなる和解にも応じないと宣言した。
 それだけではない。我が社の監督責任まで問うために追加の訴訟に出て、併合審理に持ち込むつもりだ……」

 もはや対岸の火事ではない。彼らは相手を見誤っていたのだ。
 
 
 
 
 

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