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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
第19話 キルゾーン
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出して、シミュレーターを使った初心者教習を実施した結果、幼少期から戦車道を学んでいたものと遜色ない成績を叩き出したので、本格的に球技と戦車道の適性についての研究が始まっているという。






 2013年5月、島田愛里寿を擁する戦車道の名門、N女子大チームが黒森峰女学園チームと親善試合を行った。形式は高校女子に合わせてフラッグ戦である。
 結果は恐ろしいことに、試合開始後10分目に3,000mかなたから飛んできた88mmの流れ弾がフラッグに命中、なんと撃破されてしまい、黒森峰の勝利となった。
 フラッグ車長の島田愛里寿は相変わらずの無表情でコメント代わりに「おいらボコだぜ」フルコーラスを歌ってとんずらした。なぜか「ボコぐるみ」を着て。
 奇怪な事件はさらに続く。
 東都大学リーグと、関西大学リーグの交流戦で、島田愛里寿の乗車と同車種の2両、あわせて3両がいきなり超遠距離からありとあらゆる砲弾を浴びてあっさり撃破され、指揮官と参謀抜きになった東都大学リーグが惨敗した。
 そして大学選抜対社会人実業団代表の殲滅戦が行われたが……



「大学選抜、大惨敗」
「昨年は飛び級で小学校からN女子大に入学した島田流継嗣、島田愛里寿率いる大学選抜が社会人実業団チームを壊滅状態にして勝利したが、今年は序盤から隊長車を集中的に狙われ、M24チャーフィーが放った一撃が致命傷となって倒されたことがきっかけとなって総崩れ。島田愛里寿の総指揮官続投も疑問視される。なお西住流家元の……」

 ここは、角谷にとっては高校3年間を過ごしたなつかしの会長室。卒業後初めてここに来た角谷と同席するのは現会長の華、副会長の優香里、広報の武部沙織、戦車道隊長の西住みほ、ディベート同好会のリーダー冷泉麻子、新生バリボー部部長磯部典子だった。

「西住ちゃん。もうさんざんだね〜」

 角谷が「いられなくしちゃうよ〜」のときの笑いを浮かべる。

「ふふふ、お代官様もお人の悪い」

 みほまで調子に乗って犬歯丸出しでにやりと笑う。

「では、そろそろネタばらしをしましょうか」

 華は楚々とした風情で焙じ茶を飲む、お茶請けは干し芋ではない。コスパが悪すぎる。
 お菓子はいわゆる「山吹色のお菓子」だ。贈り物にしたら喜ばれるだろう。
 もちろんそんなものを持ってくるのは角谷だ。
 ここでタブレット端末に何かを打ち込んでいた沙織が、顔を上げて報告する。

「華。在京三大新聞、N経新聞、FS経グループ、B春にS潮、S学館、K談社、N○K、文科省、消費者庁、国民生活センター、それに日本戦車道連盟あてに同報メールを送る準備ができたよ。
 あとはGOサインだけ」
「FAXでも送ってください、沙織さん。
 現会長五十鈴華と前会長角谷杏が取材に
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