第18話 我等は狩人
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ージリンが一枚のフリップを皆に見せた。
「こんなアダプターをご存じ? イギリスの方がよほどまともなものを作ってましてよ」
彼女が見せたのは、2ポンド砲の先端にネジ付けスリップオンで装着できるリトルジョン・アダプターをつけた戦車の図だった。旧式化した2ポンド砲を簡単に強化できるので、テトラーク軽戦車や2ポンドを積んでいた装輪装甲車で絶賛取り付け中だったものだ。
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「口径漸減砲としては、こちらの方がよほど実用的ですわ」
「そうだね、ダージリンさん。すり減ったら新しいのと取り替えればいいだけだし。
それに実際の戦場で盛大に使われたのもポイント高いね」
「でも、17ポンドの装弾筒付徹甲弾、APDSの方が偉大な発明……」
「すとーっぷ。本当はコントロールドディファレンシャルやHSTと同じで、フランスの発明なんですよね。それ」
みほは自分のスマホで元ダージリンに、歴史研究所にアーカイブされた当時の帝国陸軍の公文書のPDFファイルを見せる。
それは、1930年代の段階でフランスのブラン社が「装弾筒付徹甲弾」「装弾筒付榴弾」の特許をもっており、陸軍が特許使用料を払うことについての起案文書の画像だった。
なおドイツでも、15cm重砲隊には88mm高速徹甲弾を弾芯とする15cmAPDSが対戦車用に支給されていた。フランスを占領して、自家薬籠中のものにしていたのだ。
17ポンド以外の戦車砲でおおっぴらに使われなかったのは、おそらく当時のマズルブレーキの形状などのせいで上手く装弾筒が外れず、命中率に難があったからのようだ。
実は口径漸減砲も、APDSのことは決して言えた義理ではないのだが。
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