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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
第18話 我等は狩人
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金ぴかダイナ号は、出せる全速で大洗女子を目指す。



 生徒会長室では、彼を三人の女子高生が出迎えた。
 そして原野が用件を切り出したとたん、

「そんなこといきなり言われても、こっちだって困ります!
 Tasがなければ、全国大会はあきらめるしかないであります!」

 予想どおりというか、原野を出迎えた優香里は激高して突っかかってきた。
 後ろにいる二人、生徒会長と戦車道隊長は黙ったまま冷え冷えとした視線だけを向けてくる。
 原田は、顔でだけ焦って、ふところから『秘密兵器』の入ったスマホを取り出し、例の画像を見せる。優花里なら必ず食いついてくると見て。

「この件につきましては重々申し訳ないと痛感しております。私もまさか親会社が横やりを入れてくるとは思いませんでした。申しあげてもしかたないことですが、この戦車は冷戦終結の5年後に仕入れたものでして、まさかこんなに長期間保管することになるとは思っておりませんでして。
 本社からも「高く売れるところがあるなら、そちらに売れ」との厳命でございまして」

 冷や汗をかいていもしないのに、必死に顔にハンカチをあてるさまは、すべての事情を知っている三人にとっては滑稽でしかない。優花里も本当は自分を担ごうとしたことに対して怒っているのだ。おかげで苦手な芝居をしなくて済む。

「その代わりと言っては何でございますが、ちょうど掘り出し物がございまして」

 原野はスマホをフリックして、例のブツの画像を見せる。
 優花里の顔から怒りが失せ、オモチャを見つけた幼児のような表情に代わる。

「これは、口径漸減砲でありますね。
 この特徴のあるマズルブレーキは、一度見たら忘れられません!」

 すっかり恋する乙女の瞳になる優花里。もはや本気だ。芝居じゃない。
 一方、みほと華は初めて見るという顔をしている。

「優花里さん。これってそんなにすごいものなの?」
「すごいも何も、Pak41は、Pzgr.41(Hk)APCNR徹甲弾を使ったときの貫徹力がパンターの主砲で高速徹甲弾Pzgr.40/42を撃ったときと同等なのであります!」
「ぱんつぁーぐれなあ……」
「華さん、無理にいわなくていいよ」
「つまり、あんこうやカバさんがパンターやラング並みになるということであります!
 ぜひ買いましょう! 西住殿」
「……えーとぉ」

 ここで、華が「コホン」とせき払いして優花里を止める。

「で、肝心のお値段なのですが……。いくらぐらいになりますの?」





 こうして、原野は内心だけほくほく顔で帰途についた。金ぴかの100ジェットで。
 彼が提示したのは2門でTas1両分、設置費込み、弾薬別途というものだったが、みほが「ウチではそれできる部隊いる
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