第17話 反撃開始
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元・ダージリンの過去話も終わりに近づいている。
「ですから、ハンガリーの戦車道はT-34などのソ連戦車主体のチームか、パンターとW号が主体のドイツ系チームかに分かれていますの。
このTasはヴァイス・マンフレートなき今、機関車メーカーとして生き残ったガンズ社が、ある意味意地だけで作った復刻車両でしたが、現実の歴史で問題点の洗い出しが終わっていないため、試作図面どおり作るしかなかったのが痛かったですわ。
結果、機動力が相当犠牲になり、足回りの信頼性も落ちました。
これと試作車が完成しなかったTur?nV数両、これはなぜかガンズ社に終戦前からあったものだそうですけど、これをセットで売り込もうとしたのですが、ドイツ系チームはすでにそれ以上の、しかも信頼性のある戦車をお持ちでしたし、ソ連系チームにはすでに十分な数の、アフターサービス万全の戦車があるのですから、どなたもお買いになりませんでした。ハンガリーの方々は自国戦車についてはイタリーや日本以上に苦い想いをお持ちですから、なおさらでしたわ」
「くっ、……人の足元を見て、親切ぶって近寄って……。
下北タンクディストリビューションって、何者なのでありますか!」
いきり立つ優香里を、いっそう強面になった西住まほが見ている。
猪突猛進が身上のサムライガールであるまほにとっては、男の分際で金だけが正義の確信犯など不愉快極まるのだが、そんな連中でも利権と抗争に明け暮れる日本の戦車道界は必要とするのだ。
便利な道具として。
「だから『政商』だと言われるのだ。
お前たちに面目をつぶされた『誰かさん』がその汚名を雪ぎ、お前たちの全国大会優勝が『神の気まぐれ』による奇跡にすきないと証明するためだけに、大洗女子を徹底的にたたきつぶそうとしている、その手先を引き受ける連中だ。
だいたい男が戦車の商いをすること自体がうさんくさすぎる」
戦車道にまぐれはない、か。
まぐれでないなら、『誰かさん』にとっては間違いなのだ。去年の大洗女子の優勝が。
その『間違い』で大被害を被った人間は二人いたな。
まほはそう考え、みかけは中学生の、不倶戴天の仇敵の顔を見る。
その二人のうち男の方の復讐の道具に使われた家元継嗣を。
もちろんこの精神年齢が偏って突出している少女が、ただ利用されるだけだったわけでもない。
すべてが上手くいけば、WIN-WINの関係になったのは間違いない。
その少女の形をした何かは無言で顔に、不本意だけど同盟してあげると書いている。
まほのような猪武者にもはっきりわかるように、あからさまに。
「私はメスダヌキではなくメスゴリラだからな。お前の考えていることはわからない。
だが、いまのお前がみほの味方というならば、よか
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