第17話 反撃開始
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されかねない。下北はその筆頭だ。
専務氏は外部監査を受ける前に下北の大掃除をしておきたいらしい。
そうでなければ一営業所長などにホットラインをかけてきたりしないだろう。
原野に否は初めからなかった。あくまで計画を続けるというならば、明日からここの所長席には、彼でない誰かが座っているだけだ。
それでも一応、原野は本社の営業本部に確認の電話を入れてみた。
営業本部の地方課長がいうには、先月から『お得意様』とパンターG型3両の仲介契約を結んでいたが、西住家がタッチの差でG型を買い占めてしまい、ただでさえ品薄のパンターが市場から消えてしまった。輸入業者は下手をすれば来年まで入荷しないという。
しかたなく契約期限までに納入の見込みが立たなくなったからと延期を申し出たら、先様から「パンター相当のものであれば何でもいいから持ってこい」といわれたので、原野の押さえていたTasを回すことにした。ということだった。
だから原野の立場もわかるが、ここはなんとかしてくれと念を押されてしまった。
結局、一中間管理職でしかない彼にできたことと言えば、館林にお住まいのお得意様にTAS2両を引き渡し、そして大洗に貸し出し中の1両を引き取ってくることだけだった。
例によってキンキラキンのブラジル製フェノム100の機上の人になった原野は、このままでは自分のクライアントを怒らせることは必至なので、大洗女子に何か代案を提示しなければならないことに頭を痛めていた。
へたに大洗女子を怒らせて補助金を返納させ、全国大会に出ないと言うことになれば、すげ替えではなく本当に首が飛ぶ。
裏仕事をしくじればクライアントによってはそのくらいの制裁を覚悟しなければならない上に、今回のクライアントはラスボスクラスの人物だ。
上手く大洗をなだめなければ明日の朝日は拝めない。しかし、そうそう都合のいい代案など彼の引き出しにはなかった。
とりあえず、彼は旧陸軍館林飛行場、いまは館林市長でも頭の上がらない人物が管理している私設飛行場へと金ぴかフェノム100、コードネーム「ダイナ」を飛ばした。
飛行場には手回しのいいことに、すでに「お得意様」のリムジンがエンジンをかけっぱなしで待機していた。中には正装に身を包んだ家令とおぼしき高齢だが強面そうな人物が乗っている。
リムジンの後席ドアが音もなく開き、原野を招く。
原野が座席に座るとドアが静かに閉まり、リムジンは静かなまま滑らかに走り出した。
「ご主人様は、ご立腹であらせられる。
理由はわかっているだろうな」
燕尾服を着用した家令は、原野の顔も見ずにいきなり叱責する。
「今日の首尾如何によっては、貴様一人の首では済まぬと思え」
そう言ったきり、不機嫌そうに黙る家令。
平
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