第17話 反撃開始
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ろう。好きにしろ。
みほの味方は私の味方だ。たとえ今だけのことであっても。
ここでどんな謀議が語られようとも、私は誰にも言わぬ。
たとえそれが母であろうとも、決してな」
「そう。ならいいわ。
正直それだけが心配だったの。
……ナカジマさん」
「ん?」
「もし、Tasの改善案らしいものがあるなら、それをもらえるかしら。
CADである程度のものはできているんでしょ?」
「荷重計算や応力計算ができていない、まったくのペーパープランしかないけどいいの?
工学科の汎用マシンの演算能力では、戦車のような重量物の根本的改造は無理だ」
「ええ、それから考える手間がはぶけるわ」
そんなものをいまさら何に使おうというのだろう。と思うナカジマ。
TASにはベテラン選手なら確実に狙う、改善できないアキレス腱があるというのに。
「それと、角谷さん……」
「――ああ、千葉県庁の近くにおあつらえ向きの、全国区の先生がいる」
「みなまで言わなくてもわかるのね」
「壁に耳あり、っていうじゃない。言葉はできるだけ惜しむべきだよ。自分の庭でもね。
それに私のコネは、富士教導団の一尉殿だけじゃないよ。
その一尉殿もTasの画像を見せただけで『今の時代、その戦車ではもう無理だ。戦車道を極めたければW号に乗れ』って言ってたから、何かあるとは思ってたけどね」
そんな政治家と戦略家の禅問答のような会話がかわされている脇では、みほ、安斎、西の3人が、互いのスマホに知っている限りの高校生選手の連絡先を転送していた。
それから数日後。
下北タンクディストリビューション北関東営業所長の原野は、親会社の大間崎ホールディングスの専務取締役から直接電話をかけられて、青くなっていた。
専務氏はなんと、彼の今回のクライアントが赤字でも構わないから大洗女子に売りつけろと命じたTas重戦車を、3両とも別な顧客に売りつけろと言ってきたのだ。
「先様は我々にとって無視できないお得意様だ。
そっちで不良在庫になっている戦車を君が売ろうとしている倍の値で買おうというのだよ。
下北は確かにいろいろなクライアントのいろいろなご要望にお応えし、営業外利益で稼ぐ会社なのは理解している。しかし、本年度から我がグループも外部監査法人の会計監査を受けることとなったのは君も知っているだろう。
もう何十年も『死蔵』されたままの『不良在庫』を抱えているわけにはいかないのだよ。
そして間が悪いことに、3月は決算期だ」
グループの会社の一つが粉飾決算事件を起こし、大間崎グループ全体の風当たりも強い。
ここで国税局の査察や会計検査院、最悪財務省などに出張られては、いろいろな裏稼業にからんだあれやこれやが白日の下に晒
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