第16話 ハンガリー戦車哀史
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Tas重戦車については1/10スケールのモックアップ模型だけが今に残る。その模型も2種類存在し、設計作業が相当困難であったことは想像に難くない。もし戦時でなく、試作がまっとうに行われたとしても、量産型になるまで大幅な変更は避けられなかっただろう。
パンターを超える大きさで38トンの重量というのは、希望的観測ではないだろうか。
1944年10月、ドイツを見限り単独講和を図ったホルティだったが、それをドイツに察知され、スコルツェニー大佐率いる特殊部隊に息子を誘拐されてしまう。
ホルティは摂政位を退位し、極右の矢十字党が政権を掌握。そしてハンガリーのユダヤ人たちもドイツ国内の絶滅収容所に送られる。
ここにきてルーマニアが枢軸を離脱、ソ連についてドイツに宣戦布告した。
このときエルヴィンの所属する第2装甲師団は、すでにW号とパンターの混成軍となっていた。
そして彼らはルーマニアとの国境、トランシルバニアに赴く、さらにクロアチアも陥ちたことで転戦を続ける。だがあろうことか、ソ連との最前線で戦っていた第1装甲師団の半分以上がソ連に寝返り、同士討ちを始めた。
Tur?n同士が撃ちあう中、ソ連軍はいよいよブダペシュトに迫り来る。
1945年1月、ブダペシュトの包囲を完成させたソ連軍は、婦女暴行と略奪のためだけにこの東欧の古都に殺到し、必要以上の乱暴狼藉を繰り返した。戦意を失った兵士を容赦なく撃ち殺す政治将校どもも、むしろ率先して略奪に狂奔する。
中世以前からの歴史的建築物はすべてがれきの山と化し、ソ連軍占領地域で無数に起きた悲劇がここでも繰り広げられた。
ドイツ軍はもはや唯一の友邦であるハンガリーを救出せんと無理に部隊を抽出し、クルト・マイヤー率いるティーガーUの部隊まで投入したが、それはドイツ軍の終焉を早めただけに終わった。
こうして欧州最後の枢軸国、ハンガリー王国は滅亡した。
エルヴィンらは西の国境まで後退して抵抗を続ける。そのさなか、彼は3月に結婚式を挙げるが、その3日後、ソ連軍との戦闘で乗車のW号を撃破され、負傷した彼は行方不明となった。
残余のハンガリー軍も、ドイツの降伏とともにソ連軍に降伏。
短いハンガリーの装甲部隊の歴史は、ここに幕を閉じた。
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