第15話 未成戦車のコンバット・プルーフ
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リスに移住して各種水陸両用戦車を作ることになる」
「でも、末期で言うならW号F2相当のTur?nVができています」
優花里は該博だ、だが彼女がくわしいのはいってしまえば「戦車史」だ。
歴戦の戦車道選手のような、「戦闘機械」としての使い勝手という見方はしないし、ナカジマのような「コンペティションマシン」という見方も出来ない。勝ち負けにかかわらず、すべてのレーシングマシンが好きだというようなコレクター気質なのだ。
「できていたかもしれない。だろうと私は思っている。
敗戦寸前ですべてががれきと化し、そのあとソ連が『革命』をした国だ。
何でも最大装甲厚90mmだそうだ。それが23トンでできるか?
シャーマンだって30トン超え、T-34初期でも26トンある。
いいところ防循の一部だけで、あとはそれなりだろう。
そもそも実物がまったくみつからないんだから、本当のところは全くわからない。
私はTur?n系列の前面装甲は50mm、Tur?nTは日本の一式チヘ、Tur?nVはその急造ぶりも合わせて三式チヌ相当と思っている」
知っている戦車の性能で言えば、優花里よりも勝負の場に身を置き続けてきた安斎の方がよく理解している。かたや趣味の世界、かたや実戦を戦う兵士だ。
「Tasも同じだ。下北タンクディストリビューションとかが買い付けたTasというのは、おそらく現在も生き延びているガンズ社が設計図面を『解釈』したのかもしれない。
ドイツ戦車と装甲厚の比率が同じになるように。
だが仮に防循だけ120mmにしたとしても、あのデカい車体で38トンに収めるというなら、装甲はおそらくシャーマン無印未満だろうね。
あの戦車は当初ソ連のV-2ディーゼルをリバースエンジニアリングしたものを積むという、初めから無理な計画だった。ドイツがHL230エンジンのライセンス契約を拒否したこともある。
それにガンズ社はもう戦車復刻から手を引いている。部品も入らないよ」
すべてに関わった優花里には、これでようやく相手の考えが理解できた。
最初に身元を隠した人間が、身元をわからなくした資金を渡す。
それでは戦車は買えないが、ちょうどいいタイミングで「訳あり品」をもって呼びもしていないセールスマンがやってくる。
喜んで次回の全国大会にエントリーしてきた大洗を、汚名を雪ぐためのいけにえにするべく誰かが待ち構えている……。一度ぶちのめしてしまえば、あとは大洗女子には用はない。
消えるなりなんなりすればいい。みほとともに……
優花里はいいように踊らされてきたのだ。
それはまだいい。相手は完全にみほの破滅を願っている。許せない!
優花里は怒りで震えている。怒りをとおりこして、悔し涙がほほを伝う。
「優花里さん、
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