第15話 未成戦車のコンバット・プルーフ
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「ふーん。でも秋山にハンガリー戦車を買わないかと言ってきた営業は、他のも勧めていったらしいけど」
ナカジマは「戦車もクルマ」と考えている。だからレオポンも動力性能を上げることだけ考えて、走りのチューニングをしてきた。攻と防はすでに十分と思っている。
「さてそれだ。
ハンガリーの戦車道では、自国戦車だけの戦車道チームはないそうだな。安斎」
まほが話を振った安斎千代美は、アンツィオチームを強化するためイタリアに出向いて戦車を買い付けしてくるほど、ヨーロッパになれている。
もちろん中小国の事情にも詳しい。
「ふーっ。まずさ、Tas以前には『純国産』戦車ってハンガリーにはないんだよ。
Toldiはスウェーデンのランツヴェルク社L-60Bのライセンス、そしてTur?nの設計はシェコダだよ。これもライセンスだ。
ハンガリーは本当はV号の方をライセンスしたがっていたが、ドイツが認めなかった。
ドイツの品質管理に合格できる工業力はハンガリーにはなかった。
だからドイツはシェコダのLT35後継計画戦車の方をハンガリーに勧めた。
知ってたんだろ? 秋山」
「……はい」
「いまでもハンガリーの現地では、そこらを掘ればToldiやTur?nぐらい出てくるだろう。
でも、向こうではV号W号やT-34が主流。理由は日本と同じ。
よほど愛国主義の連中でもない限り、そう、そこの西の知波単だけが日本戦車を使うのと同じく、ハンガリー戦車を使う奴はいない。自国設計じゃないから日本よりさらに少ない。
だから日本にもハンガリーの提携校はない。
国際的評価もハンガリー戦車は『欧州のチハ』だよ」
「いちいち我が校を引き合いに出さないでください」
少々西はむくれている。わざわざ紙装甲戦車を使う物好き扱いされたからだ。
でもそれをアンツィオの安斎に言われる筋合いはない。
「悪気はないよ。
ハンガリーが戦車を作っていたことが知られていないのは理由があると言いたいだけさ。
イタリアと日本は自国設計自国生産だったから、末期にはなんとかW号相当の戦車を試作するまでになっていた。
だがハンガリーは自国設計の経験が全くないのに、いきなりゼロからティーガー相当の戦車を作ろうとした。できると思うか?
ときにハンガリー人は宇宙人ではないかと言われるぐらい、優秀な人物を輩出する。
フォン・ノイマンとか、ピュリツアーとか、ルービックとか、キャパとかチッチョリーナとか。
でも自国にいても展望がないから外国に流出する。
DD戦車を作ったシュトラウスラーも、ハンガリーにいたころ全部自分で戦車を設計したけど、ハンガリーの工業力にあわせてのものだったからてんでものにならなかった。
結局、彼はイギ
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