第14話 ショットトラップ
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翌日の朝、大洗港区に二隻の学園艦が到着する。
埠頭には、小さなU号F型が乗船用スロープの前で待っていた。
接岸作業が終わると、U号は他のトラックなどと一緒に、大洗艦に乗り込んでいく。
トラックやタンクローリーなどは中甲板に入っていくが、U号だけはリフトに乗って最上甲板まで上がる。市街地に出たU号は大洗女子の校舎ではなく、右舷前方のアイランド(船橋構造物)に向かっていった。
「ん?」
U号のドライバーズシートにすわる西住まほは、どう見てもここにありそうもない戦車が2両、アイランドの前に停車しているのを見つける。
何がどうなっているのかわからない、プロトタイプセンチュリオンA41ベースらしい戦車と、今まで戦後車両と頭から思われていたセンチュリオンMk.U(Mk.3化されていないもの)と同仕様と思われる戦車だった。どちらも誰のものか、まほにはすぐ察しがついた。
「頭が痛い……」
「やあ、西住ちゃんのお姉ちゃん。お久しぶり、というか初めまして」
「初めまして。そして、さようなら」
まほはそこに居並ぶ面子を見て、回れ右をして帰りたくなった。というか本当に帰ろうとした。
いまやどのような意味でも宿敵になってしまった角谷杏。
そして以前からの宿敵のうえ、今度はドイツとイギリスにそれぞれ留学するので、もはや倶に天を戴くことなど断じてなくなった元・ダージリン。
さらにガキンチョのくせして上級生にして、先祖伝来の宿敵、島田家継嗣。
そして白いソアラに乗っているのにいっこうに事故で死ぬ気配もなく、失敗兵器ポルシェティーガーで黒森峰の集中砲火を耐え抜いて自分の初黒星の原因を作ってくれた、死神すら寄せ付けない新たな宿敵、ナカジマ。
だいたい「西住ちゃんのお姉ちゃん」って何なんだろうか。
まほは「私はみほの付録か?」と思った。
そんな扱いをされたまほはもう何もかも投げ出してここを飛びだし、筑波サーキットでU号F型を走らせて履帯で路面ガチャガチャにしてやりたくなった。
しかし彼女の前に、実の妹にして最大最強最悪の宿敵、西住みほが薄ら笑いを浮かべつつ立ちはだかった。内側に開くドアにもたれかかって。
「お姉ちゃ〜ん。私にあんなことしておいて、黙って帰れるとでも?」
(※あんなこと:ルクレールとか、マウスとか、W号大砲とか、さっさと一人でドイツに逃げたこととか。アイスキャンデーの「あたり」を譲ってくれたことなどとっくに忘れている)
そして後からは四人が半包囲しながら近寄ってくる。ああ父上、先立つ不孝をお許しください。お母様はどうでもいいけど。と親不孝なことを考えたまほ。
「まほさん。あなたもおわかりなんでしょう?
高校戦車道がどうしてこんな無
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