第14話 ショットトラップ
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曲面装甲だから避弾経始に優れる。砲耳を砲塔前面より前に持って行けるので、砲尾も前進し、後ろのスペースが広くなる。だが……」
まほは黒板にチョークで簡単な砲塔断面図を描き始めた。
「上半分に当たったならいい、貫徹できない砲弾は空に飛んでいくだけだからな。
問題は中心線より下に当たったときだ。全部下に跳ね返る。
そしてそこにはたいてい、車体の天井や乗員用ハッチがある。薄いのがな。
パンターがデカい防楯の上にそういうレイアウトだったから、そういうアンラッキーヒットが良く出てしまった。正面を抜くなどとうていできない弱い弾で撃破されてしまう」
「まほせんせー、じゃあ黒森はそんなのをなんで「6両も追加で」買ったんですかぁ〜」
ニヤニヤ笑いながら質問したのは安斎千代美。まほは鼻で「ふん」と笑う。
「あまりにもショットトラップ被害が馬鹿にならないから、パンターはG型後期型から対策をほどこした防楯を装備した。下半分に四角い『アゴ』を生やしたものだ。
G型まで放置されていたのは、変速機やダブルトーションバーなどというデカい不具合対処に時間をとられていたからだ。
なお戦車道ルール3-01項によりこの防楯は『搭載される予定だった部材』であるから、パンターD、A型でもつけて構わない。
黒森峰でもヨーグルトさんのD型に一つ進呈した」
「では、砲塔正面が半球型が多い旧ソ連戦車は?」
お堅く聞いてきたのは、西絹代だった。
勝つことより突撃することがレゾンデートルと化していた知波単だったが、「福田の覚醒」によって突撃するのは頭を使ってからに変貌したので、露助戦車にチハでも勝てるかもしれないネタなら聞きのがせない。
「残念ながら、KV-1か-2でもない限り、前面傾斜装甲にオーバーハングしているようなものなので、運良く砲塔継ぎ目に飛んでいった場合以外、前面装甲に当たって終わりだ。
コの字に跳ね返される」
「マウスは?」
しれっとした顔で無表情に聞いてきたのは、食わせ物の島田愛里寿。
わざわざ説明させようというのだ。
「あの総統閣下でさえ気がついたのだから、一応車体に『跳弾板』をつけている」
「でなきゃ西住ちゃんが、総員死に方用意の上で万歳突撃なんて命じるわけないでしょ。
で、肝心要のTasちゃんはどうなの?」
もう聞かずともわかっていることだ。
だが優花里は、まだ対処法があるかもと期待する。
「……手っ取り早いのは砲塔をパンターG後期型のに取り替えることだ。
だが正直、費用と時間がどれだけ必要かわからない。
Tasは試作中に製造会社ごと木っ端微塵にされたらしいな。
それでは防循自体に大問題が潜んでいるなどわかった者などいなかったろう。
だからあの砲塔を
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