第14話 ショットトラップ
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「Tasは、正面装甲と主砲の射程及び精度が命の戦車であります。磯辺殿」
「だから、見晴らしのいい山に陣取るのはわかるが、隊長は何に乗ってくるんだ?」
優花里とアヒルの車長、「キャプテン」磯部典子はTasの砲塔の二つのハッチから顔を出し、双眼鏡で周囲360度を警戒している。
一方……
「みほさん。この主砲で倒せる相手って、至近距離の軽戦車止まりでは?」
「華さん、打ち合わせどおりにすれば必ず勝てます。100mまで近寄ることができれば」
「でも、その前に討ち取られてしまうのでは?」
「ふっ、軽戦車には軽戦車の戦いかたがある。
それをいまからお前たちに見せてやろう」
「お姉ちゃ〜ん。マウス。マウスマウス!」
「総統閣下なら今ごろ自重自重自重! とか言われているところです」
「うっ……」
「でも、そんなことであのレオポンさんより重装甲のあれが……」
「華さん。それなんだけど……」
「――あの戦車が何かわからなくとも、達人ならすぐに弱点に気がつく。
ルクリリに『三度目の正直』があったことの方が驚きだ。
みほ、ハッチから顔を出せ。奴が撃ってきそうならすぐに言え。
五十鈴、あんたは歯を食いしばっていろ。飛ばすぞ」
林の中からフルスロットルでぶっ飛んできたU号Fは、スキーのモーグルのようにこぶを避けながら約50km/hで突っ走る。
「Tasの後に出たよ。だけどまだ1,200mある。
相手は信地旋回でこちらを指向しつつあり。
優花里さんが車内に入って、いま止まった」
まほは左のレバーを思い切り引く。コントロールドディファレンシャルだから信地旋回にならないものの、まるで四輪のようにスパッと回る。違うのは「内輪差」がないことだ。
Tasから放たれた競技弾が予想進路上に着弾する。弾を避けたU号はそのまましばらく直進。
「ふん、やるじゃないか。だが今度はアヒルどもが軽戦車の動きを追う番だ。
五十鈴、100切ったらいつでも行進間で撃て。貴様が私に一発くれたときのようにな」
「あのときは有効になりませんでした。装甲の溶接部分に当たりましたから。
ですから今度は5秒ください。20発とも当てて見せます」
「いい返事だ。なんとかしてやる」
「砲塔がこっちを指向!」
ふたたびまほは、今度は右のレバーを緩く引いて直進する、と見せかけてさらに引く。
U号は複合コーナリングのような動きで2射目を避ける。
こんな動きはクラッチ&ブレーキ操向装置では、冷泉麻子しかできない。
「ねえ忍、黒森峰の元隊長ってたいしたことないんじゃない? ドリフトしてないじゃん」
「ちがう。たぶんあれが戦車のグリップ走法なんだと思う。
テールスライドをおさえて駆動力のロ
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