第14話 ショットトラップ
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粋なものに成り果てたのか」
「優花里さんがなんであそこまで追いつめられたのか」
「戦車音痴の辻が作ったカール『自動』臼砲なんて真っ黒なものがまかりとおったのも」
「うんうん、あなたがマウスなんてろくでもないもの持ち込んだのが始まりだよね」
「だーっ! なんでも私の仕業か?」
「そのとおりですわ」
「だから、責任とって(取らないのなら島田流ドイツ支部に嫌がらせさせるわ)」
「そーそー、この大洗女子を次の大会で血まみれピエロにしたい人たちの陰謀を潰すのに、協力をお願いしたいの。わかる? 西住ちゃんのお姉ちゃん」
「さもないと、ソアラの助手席にご招待しなきゃいけなくなるのよね。
自動車部以外が乗るとあいつ、変な挙動するのよ」
「だからお姉ちゃん、最後までつきあってもらうよ」
まほは、レオポンが受けた以上の言葉の集中砲火にさらされた。
これはきっと実の妹の策に違いない。とまほは思うが、大当たりだ。
「……みほ、いつのまにかずいぶんたくましくなったな」
まほのまわりの五人が五人とも、そっくりな黒い笑いを浮かべている。
昨年四月の大洗女子では、会長室にいたひとりしかしなかった笑いである。
まほに皆で因果を含めたあと、みほはひとりで戦車倉庫に向かった。
優花里はずっとそこにこもったままだ。
みほがまほに言ったとおり、完全に優花里は追いつめられ切っていた。
「優花里さん……」
「西住殿、この戦車にしか大洗女子戦車道の活路はないんです!
大島の試合で倒されたのは、それこそまぐれです」
戦車倉庫の中で途方に暮れていた優花里だったが、みほに呼びかけられると、ほとんど血走った目を向けて叫ぶ。だけどみほには、みほの考えがある。変わってしまったものを元に戻すこともできないし、また次の全国大会で、四強が舐めプレイをするわけがない。
どの学校も全力で大洗女子を潰しにかかるだろう。そうすれば去年の優勝は奇跡に過ぎなかったことが明らかになる。それを一番望んでいるのが誰か、みほにもわかっている。
「優花里さん、放課後にアヒルさんたちと一緒にこの戦車に乗って、装填手をやってください。
この戦車が使えるのかどうかはっきりさせましょう」
「……何を、するのでありますか?」
「私が、別な戦車に乗って戦います。それですべてが明らかになる。
場所は艦内演習場。すきなところに陣取りしてください。
……では、待っています」
みほは優花里に背を向け歩き去る。戦車倉庫の中で一度だけ振り向くが、何かを振り切るようにまた背を向ける。
優花里を妄執から解き放たなければ、大洗女子自体が内紛の中で瓦解する。
それが、いままで皆と話し合ったなかで出てきた結論だった。
ならば……
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