第13話 聖グロリアーナの選択
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対外試合もできず、いずれ終焉する大洗女子戦車道。
そんな結末が待っているだけだ。
「もう、どうすればいいのかわからない!」
優花里は、誰もいない海に向かって大声で叫び、そしてすすり泣いた。
『奇跡にお金は出せない。奇跡はお金では買えない』
連盟係員のセリフがまた蘇る。
自分たちの勝利は「まぐれ」ですらなく「奇跡」だというのか。
西住家元は「戦車道にまぐれなし。あるのは実力のみ」と断言した。
ならば強大な敵には「奇跡」がなければ勝てないと言うのか。
優花里は、そんなことは決して認めたくなかった……
だからダージリンは、こんな時期にこんな非公開の交流戦などやったのではないか。
聖グロリアーナの「変革」、強力なOG会を説き伏せての戦車入れ替え。
それは別に大洗の優勝がもたらしたものではない。
戦車のラインナップで黒森峰に大差をつけられたからだ。
戦車道強豪校では、そんなこともまかり通るのだ。
もちろん彼女たちばかりではないだろう。試合に出場できる台数が決まっている以上、戦車の質が「物量」だ。ならばサンダースもプラウダも戦車の更新をするだろう。
「四強皆弱」にしなければ「一強皆弱」という事態になって、のこり三校は戦車道を続ける意義を失う。幸いなことに「1945年8月15日」という天井はある。軍拡競争にはならないだろう。
四強とそれ以外の差が超えられないものになるだけだ。
まして、超弱小の大洗が認められるためには、やはりTasをものにするしかない。
こうして、優花里はどんどん、思考の袋小路にはまっていく。
だから少し離れたところから、安斎と西が彼女を見ていることさえ気がつかなかった。
「ありゃもう、ソースが煮詰まりすぎて全部焦げてしまったねえ。パスタを入れる前に」
「おこげの塩おにぎりなら、美味しいんですけどね」
ちょうど優花里が大洗艦のキャットウォーク公園で焦げていたころ、ひとり「74」にてアイスを食べていたでみほに電話がかかってきた。
スマホの画面に表示されている相手は、姉のまほだった。
「お姉ちゃん?」
『みほ、あいつに頼んだ交流戦だが、援護射撃にはなったか?』
「ああ、そうだったのね……。
……うん、ダージリンさんはきちんとやってくれた。
でも、優花里さんには何が問題なのか、まだわかってないみたい」
『別にベテラン選手でなくとも、マニアならいいかげん気がつきそうなものだが』
「うーん。史実ではレアケースに近いもんね。
優花里さんも冷静なら、訳ありの上にひも付きだって気がつくんだろうけど」
『大洗戦車道を救いたいから、ワラであっても丸太と信じたいわけだな』
「そう、それ」
そこまで話して、みほは姉の電話から車
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