第13話 聖グロリアーナの選択
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きを変えたとき、内輪山の陰から2両のコメットが姿を見せる。
「まさか、速すぎです! 西住殿!」
「聖グロリアーナが、分進合撃……」
聖グロリアーナがスカウトとして採用したコメット巡航戦車は、センチュリオンが「中戦車」になったため、イギリスが最後にリリースした巡航戦車となったものだ。
巡航戦車と言っても、主砲は17ポンドの砲身長を50口径にした上で薬莢を変更して発射薬を減らした77mmHV砲という名の76.2mm砲で、装甲も車体前面で75mmある。
偵察部隊と言っても、一世代前の主力戦車を軽く凌駕し、重装甲のチャーチル相手でも決して撃ち負けると言うことはない。
そして速力は、整地で約50km/hという高速戦車だ。
「西住さん、敵2両は正面1,200で停止したぞ」
「麻子さん、あんこうはここで一旦停止します。
沙織さん、全車進撃中止と伝えてください」
すでにみほが命じた行動計画では、そのまま2両のコメットに横腹をさらすことになる。
しかしぐずぐずしているわけにはいかない。考えられるのはセンチュリオン2両が後方になった櫛形山を占領して、挟撃戦を仕掛けてくること。
戦力からいえば圧倒されている上に、すでに先手を取られたしまった。さらに凶報が続く。
『レームダック、西です。すいません、やられました!」
ルクリリのクロムウエルが白石山に登り、Tas重戦車を影にして八九式を狙撃したのだ。
「まずい……」
こうなったら悪手なのは承知で兵力を分散し、自分が指揮して櫛形山を先に押さえるしかない。
みほは命じる。
「カバさんとカモさんは、盾になりながらコメットと交戦。ウサギさんとアリクイさんはその影から敵を狙い撃って!」
『アリクイ被弾! 撃破されました。すみません……」
アリクイも日本戦車、75mm野砲を無理矢理積むために大型化した目立つ砲塔の前面装甲は50mmしかない。
(1,200から当ててくるとは、聖グロはさすがとしか言いようがない。いままでは武器が貧弱だっただけ……。だけど)
「カメさん、ついてきてください。櫛形山をダージリンさんより先に取ります」
『西住ちゃん、わかった。……でも、きびしいね」
作戦は成功しつつある。怖いぐらい順調に。
しかし相手はあの西住みほ、油断をすれば負けるのは自分たち。
そうダージリンは自分に言い聞かせる。西住みほはそれほどの強敵なのだ。
「コメット隊は距離1,200で敵本隊と交戦開始しました。いまは櫛形山の影で見えませんが」
元・ダージリンが率いるセンチュリオン隊も、いま櫛形山の反対側の麓にたどり着いたところだ。あとはこの山を占拠すれば勝負が決まる。
『ルクリリです。W号とヘッツ
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