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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
第12話 ルクリリの勝利
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砲隊鏡を出し、前方180度を監視するが、敵影はない。

「おかしいな。視界はよくてガスも出ていないのに『裏砂漠』を走る聖グロがいない。
 福田、どう思う?」
「……もしかしたら、後にいるかも知れません」
「?? 何だって?」
「もし、例の赤毛の人が巡航戦車だけで部隊を組んでいたら、私たちの裏をかいて内輪山を回り込み、もう後ろを取っているかもしれないです。
 そうなったら薄い背面を撃たれます」
「よほどの思い切りだが、聖グロが世代交代していれば、──ありえる!
 あんこうへ……」

『──西さん、うしろに敵です! 500m』



「ルクリリです。八九式だけが前進、後ろを監視していません。
 我々が前から来るものと思っています。成功です」
『了解したわ。あなたは予定どおり八九が500m進んだら後を追いなさい。
 あなたの砲撃が合図です。聖グロリアーナの本当の技術を見せてあげなさい。
『アヒルさん』に』
「了解です。
 ──機関始動! あの『シッティング・ダック』を追う。作戦開始!」

 ルクリリは車長用ハッチから上半身を出したまま、戦車を発進させる。
 それは剣が峰の大洗女子本隊も視認しているが、それは既定事項だ。



「ふっ、ルクリリだ、またあいつがかかった。
 二度あることは三度あるのさ。懲りない奴だね」

『新・アヒルさん』の車内では、キャプテン磯辺が不敵に笑う。
 ルクリリは前を走る八九が「アヒルさん」だと思っている。
 そう磯辺は思っていた。二度あることはやっぱり三度あったと。しかし──



「馬鹿め! 三度も騙されるか!
 かかったのは貴様らだ。減速しつつ超信地!」
「了解」

 止まりきる前から、ルクリリ車はすさまじい横Gで傾きつつ、タイトなスピンターンで白石山を指向する。

「装填、弾種APCR。砲手、目標はハルダウン中。狙えますか?」
「照準器安定装置作動。レティクルにおさまっているわ」
「了解、停止して1秒以内に発砲願います。初弾で当ててください、アッサム様」
「わかったわ。ルクリリ」

 アッサムの照準は、みごとに『新・アヒルさん』の一点をとらえ、動かない。
 車体が止まり、縦スプリングのクリスティ・サスペンションがまだ動揺している。
 しかしアッサムは、それに構わず撃つ。



「あんこうへ、敵がかかった。射撃します」
「キャプテン! 敵が」

 何とルクリリは八九を追うのを止め、ローズヒップのクルセイダーよりも小さな半径で本家並みの「マックスターン」をすばやく決める。

『西住殿、あの巡航戦車はクルセイダーではありません。
 クロムウエルです!』
『ダージリンさんがOG会の反対を押し切って、全国大会の準決勝でデ
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