第11話 笑う角谷
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角谷は、筆記試験で受験してもすでに余裕で合格圏内であった第一志望の国立北総大学にAO入試で出願し、すでに合格を果たしていた。同じく合格県内の元副会長、小山柚子もあえてAO入試のみで出願し、同じく合格している。
これは、元広報の河嶋桃が筆記試験では合格できる大学がないという惨状だったため、無限軌道杯に河嶋を隊長として出場し、その成果を持って北総大学のAO入試を突破させ、三人そろって同じ大学の門をくぐろうという角谷と小山の願いからだった。更に角谷は、第63回全国大会と大洗動乱の副将も河嶋だったということと合わせて生徒会トリオの働きにより母校の廃校を二度とも撤回させたという印象操作も加えて河嶋の合格を勝ち得た。
そのために自分たちもAO入試のみで出願して、不合格のリスクと引き替えに話に説得力をもたせたのだ。ただ、当時の河嶋が実際にはどんな働きをしたかと言えば……
その角谷が打ち合わせ場所に指定したのは、大洗中心市街地から離れたところにある「戦車カツ」が名物の、とんかつレストランだった。
「今日は貸し切りだから、ゆっくり話ができるよ」
ツインテールをやめてしまった角谷というのは、何度見ても角谷に思えないというのがみほの正直な感想だった。
3人で貸し切りもないだろうと思って見渡すと、他にも見知った顔が何人かいる。
ナカジマ、スズキ、ホシノ、園みどり子、河嶋桃、小山柚子、つまりHNぴよたん以外の三年生全部と、さらにどうしてここにいるのか全く分からない知波単の西と、角谷同様ツインテールをやめて髪をカットした元ドゥーチェの安斎がいた。
「これでみんなそろったな。今日は店長さんのご厚意で、何食ってもいいからな」
角谷は、まるで自分のおごりだみたいな言い方をする。
しかし、華の他に西絹代がいるのに、それでいいのだろうかとみほは思う。
案の定この二人は超重戦車カツ定食W号付きを頼んでいる。通常の10人前だ。
あとはみほ以外全員戦車カツ。これとて通常の3人前だ。
みほだけ柔らかさが売りの「少なめ」定食だ。
何でも角谷が「決勝戦前にここで戦車カツを食べたおかげで勝った」と吹聴しまくったらしく、それ以来験担ぎ目当ての客が増えて、かなり繁盛してるらしい。いまではさらに大洗動乱全面勝利と角谷らの有名大学合格までくわわって、行列店になったそうだ。
そう考えれば、店長のご厚意も納得がいく。
お食事タイムは、みんなでワイワイがやがやとおしゃべりしながらだったので、ゆうに1時間を超えてしまった。
華と西絹代は、それぞれ「マウス」を3両ずつ撃破。
今は皆でほうじ茶と、……干し芋をいただいている。
「で、西住ちゃんはそれが全部一本の糸でつながってるって思うんだ?」
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