第9話 新戦車運用開始
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ジン2つです。でしたら何とか……」
ナカジマは首を横に振る。
「レオポンは双子エンジンじゃない。むしろ双発だよ。
左右のエンジンはそれぞれ左右別々の発電機を回すんだ。
エンジンが同調しなくても操縦手がわで調整して走ることはできる。
だけどこいつは本当にエンジンの回転数を同調させないといけない」
「ならばいっそ、エンジンを強力なもの1基に換装すれば」
優香里はなおも食い下がる。ここでこの戦車が「使えない」ということになったら、彼女の考える「戦車道強豪大洗女子」は崩壊する。
西住しほは「戦車道にまぐれはない」と言ったそうだ。つまり全国大会の黒森峰は「負けるべくして負けた」のだから、その敗因(もっぱら舐めプレイと指揮官の猪突猛進的な性格)をなくしさえすれば当然のように勝つと宣言したに等しい。
これはなにもしほ一人に限った話ではなく、戦車道履修校として登録したすべての高校で、大洗対策がとられていると考えるべきだろう。大会から半年以上たっているのだ。
もう来年度から大洗女子を「弱小戦車と初心者の集団」と侮る相手はいない。
どの学校も四強と戦うつもりで向かってくるだろう。
そしてその四強は、現状でさえ本気を出すだけで大洗女子をたたきつぶせるのは、夏の団体交流戦でわかっている。
しかし、ナカジマは──
「確かに既存のエンジンなら規則3.01項後段で可能かもしれない。
だがエンジンルームを1回ドンガラにした上で強度計算してステーを作り、プロペラシャフトや操向変速機、ファイナルまで交換する必要がある。
そんな大改造はプロに頼まないと無理だよ」
現状の自動車部の能力を超えていると答える。
優香里は、自分の足下がどんどん削られていくような、そんな気持ちになった。
その翌日。
もう授業に出なくともいい自動車部のレオポン三年生3人と、工学科有志による分析が朝9時から放課後の午後3時まで行われ、優香里が授業を終えるころには確定結果ができていた。一同を代表してナカジマが説明を始めた。
「まず、重量測定から。
見てのとおり、完全にダイエット失敗だ」
プリントアウトには優香里を絶望のどん底に落とすような数字が書かれている。
正面120mm、側面60mm、背面40mm、エンジン2基ならさもありなんという体重だ。
「次に、ダイナモのグラフね。
これは見ただけじゃわかんないだろうから、タブレットに出して説明するよ」
そのグラフは横軸がエンジンの回転数、前後の縦軸にはそれぞれ出力(?)と軸トルク(N・m)の目盛りがふられている。
「連続線と破線のグラフがあるだろう。破線の方は比較用のM26パーシングのデータね。
実線の方がこいつの実際の計測結果だ
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