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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
第8話 試用期間
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うことを。
「腕と戦術」の「戦術」を体現するチームのリーダーとしても。そう考えている。
 レオポンの四人のうち三人は三年生、生徒会トリオ同様本年度で大洗女子を去る。
 アヒルさんは次年度にバレー部再結成可能な人数がそろったときは、戦車道から外してバレー部を復活させるよう引き継ぎ事項として華に念を押してある。
 レジオン・ド・ヌールや議会名誉勲章に匹敵する彼女らの戦いに報いる途は、それしかない。
 バレー部の存続を認めなかったのは自分だという負い目もある。
 そして、予算の問題だ。廃校がなくなった以上「戦時予算」はもう組めない。
 そういう悪い条件も、みほや華に背負わせて、自分はここを去らなければならない。
 彼女は「戦車を新しくしても『奇跡の再現』は無理」と見切っていた。
 だが同時に、みほなら限られた条件下でも、学校と社会に貢献できる戦車道のあり方を確立できるだろうとも信じていた。
 しかし、目のまえの副会長の顔面には「大洗女子を戦車道の強豪校に」と書いてある。
 角谷は「やれやれ」と思った。可哀想に思ったのだ。

 戦車道もフィールドを舞台とする球技同様「攻、防、走」の世界だ。
 その「走」のエキスパートであるナカジマは、ずっと無言のまま考え込んでいた。
 ある意味、「腕と戦術」でどうにもならないのが機動力だ。
 その点は戦車道もモータースポーツも変わらない。
 そして「腕と戦術」にもっとも必要なのも機動力、特に戦車の場合は障害物を越える能力と、迅速な移動力だ。ターマックとグラベルとトライアルを全部やらねばならない。
 それから言えば、目のまえの戦車は懸念だらけだった。
 ナカジマには正直な話、何をどうしたらいいのかさえわからないのだ。

 とある国の勇者の名が付いた戦車の前で、卒業間近の二人はただ立ちつくすだけだった。
 
 
 
 
 

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