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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
第8話 試用期間
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てしまう「怪物生徒会長」だった人物だ。いかにも幼い見かけにしておかないと、確かに誰も近寄ってこなさそうな雰囲気を醸している。
 つまりあの理事長の同類なのだ。大洗動乱で得をしたのは、確かに理事長と元会長だ。

 角谷は、ここに来る前に町教委に寄っている。
 補助金については、付帯条件は一つだけ。全国大会出場だけだ。
 そこからわかることは、その匿名の寄贈者は大洗女子が全国大会に出場することで、寄付した金額以上の、何らかの利益を得る人間。
 候補者は、多すぎる。掃いて捨てるほどいる。
 なにしろ次年度だけ大洗女子戦車道が存続すればいいだけだ。
 ならばいまはとりあえずおいておくしかない。それ以上の情報が得られるまでは。
 角谷が心配しているのは、みほや華と優花里の間に溝ができてしまうことだった。
 困ったことに目のまえの副会長の顔には「私は隠し事をしています」と書かれている。
 次年度の戦車道をどうするかは、プラウダ戦以降と同様にみほに一任すればいい。
 いまの彼女には、それだけの力量と使命感とリーダーシップがある。
 五十鈴華という人間は「食わせ物」という言葉から最も遠いところにいるが、だからこそ「食わせ物」がつけいる隙がない。
 自分自身がある意味「公明正大な食わせ物」である角谷は、だから華が次期会長に決定してよかったと思っていた。
 優花里が副会長なのは、諸刃の剣だろう。
 働き者でみほに対するロイヤリティがあるのはけっこうだが、全体観に乏しい。
 一点集中型で、それが高じて暴走も辞さない。
 安斎千代美から「今日、お前の所の片金三等軍曹がうちに来たぞ」と試合前に電話がかかってきたときは、さすがに頭痛がした。
 なお安斎は、今回の研修会には参加していない。防衛大学校に進むことになっている。
 例のドリルツインテールはやっぱりとっくにやめていて、肩すれすれでカットしたという。
 あいつ、できるってことを隠していたな。自分も騙されると言うことかと角谷は嘆息した。
 なにしろ防衛大学校は、いまの日本で最難関の大学なのだから。

「とりあえず、その戦車見せてくれよ。秋山」

 そういうのは当然、エンジニアのナカジマだ。
 レオポンこと「自動車部の四人」は全国大会と大洗動乱で、全国的に有名になった。
 なにしろポルシェティーガーなる戦車の歴史に「失敗兵器の代名詞」として燦然と輝く代物をきっちりレストアして、特に全国大会ではアリクイ同様決勝戦のみの出陣にかかわらず、ケーニクスティーガーやパンター、ヤークトパンターを相手に単騎で戦って、壮絶な「立ち往生」を実際に遂げた(弁慶も典韋もフィクション)ことで大いに名をあげた。
 技術的にも部活のファクトリーでありながら、まともに走らせることが出来ないはずのポルシェティ
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