第8話 試用期間
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てしまう「怪物生徒会長」だった人物だ。いかにも幼い見かけにしておかないと、確かに誰も近寄ってこなさそうな雰囲気を醸している。
つまりあの理事長の同類なのだ。大洗動乱で得をしたのは、確かに理事長と元会長だ。
角谷は、ここに来る前に町教委に寄っている。
補助金については、付帯条件は一つだけ。全国大会出場だけだ。
そこからわかることは、その匿名の寄贈者は大洗女子が全国大会に出場することで、寄付した金額以上の、何らかの利益を得る人間。
候補者は、多すぎる。掃いて捨てるほどいる。
なにしろ次年度だけ大洗女子戦車道が存続すればいいだけだ。
ならばいまはとりあえずおいておくしかない。それ以上の情報が得られるまでは。
角谷が心配しているのは、みほや華と優花里の間に溝ができてしまうことだった。
困ったことに目のまえの副会長の顔には「私は隠し事をしています」と書かれている。
次年度の戦車道をどうするかは、プラウダ戦以降と同様にみほに一任すればいい。
いまの彼女には、それだけの力量と使命感とリーダーシップがある。
五十鈴華という人間は「食わせ物」という言葉から最も遠いところにいるが、だからこそ「食わせ物」がつけいる隙がない。
自分自身がある意味「公明正大な食わせ物」である角谷は、だから華が次期会長に決定してよかったと思っていた。
優花里が副会長なのは、諸刃の剣だろう。
働き者でみほに対するロイヤリティがあるのはけっこうだが、全体観に乏しい。
一点集中型で、それが高じて暴走も辞さない。
安斎千代美から「今日、お前の所の片金三等軍曹がうちに来たぞ」と試合前に電話がかかってきたときは、さすがに頭痛がした。
なお安斎は、今回の研修会には参加していない。防衛大学校に進むことになっている。
例のドリルツインテールはやっぱりとっくにやめていて、肩すれすれでカットしたという。
あいつ、できるってことを隠していたな。自分も騙されると言うことかと角谷は嘆息した。
なにしろ防衛大学校は、いまの日本で最難関の大学なのだから。
「とりあえず、その戦車見せてくれよ。秋山」
そういうのは当然、エンジニアのナカジマだ。
レオポンこと「自動車部の四人」は全国大会と大洗動乱で、全国的に有名になった。
なにしろポルシェティーガーなる戦車の歴史に「失敗兵器の代名詞」として燦然と輝く代物をきっちりレストアして、特に全国大会ではアリクイ同様決勝戦のみの出陣にかかわらず、ケーニクスティーガーやパンター、ヤークトパンターを相手に単騎で戦って、壮絶な「立ち往生」を実際に遂げた(弁慶も典韋もフィクション)ことで大いに名をあげた。
技術的にも部活のファクトリーでありながら、まともに走らせることが出来ないはずのポルシェティ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ