第7話 新たな戦車
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いの暗号化キーを打ち込み、秘匿回線らしきものにアクセスした。
「これは……」
タブレットのブラウザに映し出された画像と、プライスタグ。
破格の値段であるが、優花里は戦車自体にも飛びついた。
「これはハンガリーの!」
「お目が高いですね。これが私どもの『隠し球』です」
「38MToldi軽戦車の装甲強化型、42MV型に、43M Tur?nV重戦車ですか!」
「ええ、43Mの方はガンズ・コーポレーションが戦時中に試作したものをコピーして復刻したものです」
「ま、まさか実物の写真が見られるなんて感無量ですっ!」
「ええ、実力はあるのですが知名度が全くなく、どなたも買おうとなさいません。
どのお客様もお金があれば、どうしても知名度の高い戦車をご要望されますし。
そのようなわけでチハと同等かそれ以下と見られて、値崩れが激しいのです。
あなたほどの博識な方は、戦車道界ではなかなかいませんからね」
いままで自分のことをそのように持ち上げてくれる人間がいなかったため、優花里はいままでの懸念はどこへやら、すっかり天にも昇る気持ちになっている。
「そしてこちらをごらんください」
「これは、……まさか、実車が存在するなんて!」
「ええ、戦時中にはご存じのとおり1両も完成することがありませんでした。
これはヴァイス・マンフレート社が残した設計図面をもとにガンズ社の機関車工場で組み立てられた『復刻版』です。
もちろんあなた様なら、この戦車の真価はおわかりのことかと」
「ええ、もちろんです!
主砲は70口径75mm、砲塔防循曲面120mm、車体前面40度120mm!
速力路上45km/h! 信じられません、パンターより強力な戦車がこの値段とは」
「……もちろん『税込み』『乗り出し』価格です。
私どもではこれを3両押さえております。
まとめ買いでしたら、さらに勉強させていただきます。いかがでしょう?」
「あ……」
優花里がもし正真正銘の会長ならば、ここですぐに契約書を作ってしまいたいところだったが、会長職務代理者には随意契約の認められている金額以上の決裁権はない。
それを告げると、原野はまあそうでしょうねという顔をした。
「そうですね、それでしたら検討用に1両持ち込ませていただきましょう。
会長さんや隊長さんがお戻りになるころにまでには、持ち込めると思います。
その後にまたお伺いいたします。
なお、この商談は昨年戦車道をお始めになった大学や実業団にももちかけております。
私どもも売れなければどうにもなりませんから……。
――では、良いお返事をお持ちしております」
「はいっ!」
優花里はすっかり元気を取り戻したようだ。頭の中では連覇への皮算用もしてい
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