第4話 戦車道連盟本部
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「お母様にとって、お前はあいかわらず「敵」なんだ。それはおぼえておけ」
やはり母とは和解できない。
もはや歩く道が交わることはない。
わかっていたことであったが、姉から直接告げられたことで一縷の望みもないということをあらためてみほは思い知った。
「みほさん……」
大食漢(女だが)だと言うことが知れわたっているせいか、他の受講生の倍の食事を取ることを許可されている華が、2食目のレーションをまことに上品に召し上がったあと、それまで閉じていた口をようやく開いた。
だが、みほにも今後の大洗女子戦車道の未来像がいまだに描けずに苦悩していることを察して、思索にふけるみほをそのままそっとしておこうと、華は考えた。
そして何の因果か、考える時間は増えてしまった。望まない形で。
翌朝から野営地が大吹雪に見舞われた上、地上との連絡も絶たれてしまったのだ。
ここに華が参加していたために、通常の3倍の糧食に加えて、救急糧食100食分を持参したことが彼女たちを救った。
数日の間、吹雪が止むまで彼女らは雪洞の中で足をこまめに動かしながら耐え、晴天と同時に自力で下山することができたのだ。負傷者なしの快挙だった。
彼女らの健康状態に全く問題がなかったため、講習そのものはさらに期間を延長し、全カリキュラムを修了させることとなった。
このためみほと華の大洗帰還は、さらに数日遅れることになった。
表面上は平静を保ったまま課業と生徒会業務をそこそここなしていた優花里だったが、戦車道予算に対する生徒たちの反発が大きいことと、現状の歳入見積もりで生徒たちの部活動その他実習授業などを平常時に戻すとなれば、戦車道授業のコマ数を減らした上、全国大会はおろか対外戦をほぼ断念せざるを得ない上、授業も形だけのものになることが文字とおり激しい苦悩となって彼女をさいなんだ。
(どう考えてもダメ。お金が足りなすぎる。
砲弾がせいぜい3会戦分、燃料も全車満タンで3回分しか買えない。
授業の実技を3回に1回としても……)
彼女を戦車道、なかんずく大洗女子強豪校化に執着させる理由は、まさにみほだった。
彼女が大洗女子に転校してわずか数ヶ月、戦車のせの字も知らない生徒たちを戦えるように育て上げ、「腕と戦術」だけで強豪校相手にポンコツとロートル8両だけで渡り合い、黒森峰戦ではマウスやアニマルシリーズを含めて10両を撃破し、姉との一騎討ちも制した驍将、西住みほ。
(しかし、西住殿の戦車道をここで途絶えさせるわけには断じていかないのであります)
だが、大洗女子の伝説が去った後の現実は厳しかった。
これではとおりいっぺんの、お稽古事の戦車道授業しかできないであ
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