第3話 怪物と戦うには……
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
フラッグにして、その周囲を全周砲塔を持つ「無敵戦車」ティーガーシリーズどもに守らせるというなら、大学選抜はおろかシニアの世界ランカーチームが相手でも十分通用するだろう。他に万能戦車パンター10両の打撃部隊がいる。
まさに黒森峰の、一切の遠慮会釈のない「本気」といっていいだろう。
小学生が率いても勝てるかも知れない。
そして黒森峰の「編成替え」の背景には、全国高校生エースのチームが全滅寸前になった相手である大学選抜の編成、つまり戦後一歩手前の主力戦車隊と高速偵察隊という組み合わせの妙がある。
戦車道では実際の軍隊で索敵を担う高速の装輪装甲車がないため、戦闘部隊を割いて索敵を行う必要があった。軽戦車は装甲車に現場から追われたが、戦車道なら索敵専門に導入する意味がある。フルカバードでも装輪装甲車は平地しか走れないからだ。
また今後の全国戦および世界戦はM26パーシングのような第一世代MBT相当の戦車で戦われると、誰もが理解したといっていいだろう。
逸見はなぜ、半年後に戦うかも知れないみほにこんなことを聞かせるのか。
単に強豪とはこういうものだと誇りたいのだろうか。それとも、貴様らの勝利は絶望的だと、また揶揄しているのか。
いや、そうではない。逸見の目は、真剣そのものなのだ。
今年の栄光を泥に埋もれさせたくないなら、もう全国大会には出てくるなと言っているのだ。
黒森峰が時代を変えてしまったと。
当然みほはさらに先も考える。
四強の残り3校が今年の黒森峰を見て、何の対策も講じないとは考えられない。
そして大学選抜の主力戦闘戦車のみの編成を見ているのは、彼女らも同様なのだ。
聖グロリアーナ隊長やサンダース隊長らも、海外留学や系列大学へのエスカレーターで進路が決まっており、まほと同様の立場なのにここにいないのはなぜか。
考えるまでもなかった。
「みほ、お母様は大洗動乱の時「大洗を存続させて来年雪辱を期す」とおっしゃっていたが、あれは大人げないのを承知の文科省に対する牽制ではなく、完全に本気だ。「家元」として西住流に泥を塗った大洗とお前が本気で許せないのだ。
流派の面子だけではない。島田に対する失地回復のためにもお前を完膚無きまでに叩き潰した上で全国大会で優勝を飾ることが、お母様の宿願なんだ。
お母様にとって、お前はあいかわらず「敵」なんだ。それはおぼえておけ」
『黒森峰は今回の全国大会で運用が難しいとわかった戦車を整理して、キングタイガーやパンサーに入れ替えたということよ。もし我々が現状のままで奴らと当たればどうなるかしら』
『史実を持ち出すまでもない。我々のシャーマンなど一方的に倒される』
『第二次大戦は、5万両のシャーマンがあったから何とか勝てた』
『しかし、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ